VAIO Column 特別編 「WPC EXPO 2002」レポート
「WPC EXPO 2002」レポート
最後はマイクロソフトの「Tablet PC」ブースと、ThinkPad が 10 周年を迎えた IBM ブースの紹介です。
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マイクロソフトブース。MS ブースは一部の XBOX コーナーを除けばほとんど全てが「Tablet PC」の展示に使われていたといっても過言ではありません。それくらい、11/7 に控えた Tablet PC の出荷に力が入っているということなのでしょう。例年に比べてやや人出の減った WPC EXPO の中で、ここだけは例年にも負けないの人だかりができていました。
MS 自身は Tablet PC のハードウェアを製造していないため、「Windows XP Professional Tablet PC Edition」を搭載する提携メーカー各社の製品を一堂に会して展示、という形を取っていました。
Tablet PC のプレゼンテーション。プレゼンターのお兄さんが手にしているのは、原稿ホルダーでも PDA でもなく、Tablet PC です。このプレゼンテーションもかなりアツかったです。
Tablet PC ブースはホントに黒山の人だかりという感じで展示機にもなかなか辿り着けない有り様でしたが、人並みをかき分け列に並んでようやく辿り着けた東芝製 Tablet PC。イメージ的には薄型の DynaBook SS に近いでしょうか。液晶ヒンジの中央部に回転機構が見えますね。
東芝製はキーボード付きノート PC とのハイブリッドタイプでしたが、形態はメーカーによって多様で、キーボードのないタブレットオンリーの製品や、デスクトップ PC としても使える製品もあるようです。
液晶をひっくり返してタブレットモードにしてみたところ。本体全体がかなり発熱しており、持ってみるとけっこう熱いです。長時間手に持って使い続けるのはちょっと厳しいものがあるかも・・・。「Tablet PC として」ではなく、「いざというときに Tablet PC として使える」というあくまで付加価値的な使い方をするもの、と考えた方がいいかもしれません。
液晶パネルは静電式のタッチスクリーンを採用しており、付属の専用スタイラスでないとタッチスクリーンとして動作しないようになっています。つまり、指先でポインティングできないということ。画面に手を添えて手書き入力してもポインタが誤動作しないようになっているわけですね。
しかし、特殊なタッチスクリーンの特性なのか、視野角がかなり狭いので、会議のときに机の真ん中に置いてこの画面をみつつコラボレーション、という用途には向かないかもしれません。
手書き認識は、画面下部の入力ボックスに一文字ずつ入力→認識するという伝統的な手書き入力方式が採用されています。どんどん入力していっても後追いで認識処理をしてくれるため、PC の処理を人間が待たなくてはならないということがないのはけっこう感動かも。漢字仮名、英数と何でも認識でき、かつ認識精度や速度も速いのですが、画数をみて認識しているようで、画数の多い文字はけっこう認識に時間がかかるのが難点。やはり、手書き認識による入力よりも画面にイメージを直接書き込める、ということがこの Tablet PC の最大の利点だろうと思います。
IBM ブース。といっても、ステージ上に大きく「ThinkPad」と出ていることからも分かるように、ThinkPad が 10 周年を迎えた今年の IBM ブースは「IBM ブース」というよりも「ThinkPad ブース」という感じでした。NetVista とか、サーバとか、ビジネスソリューションとかそういった話もほとんどなく、ひたすら ThinkPad の展示が中心でしたね。
ThinkPad の 10 周年を記念して、歴代の ThinkPad の中から代表的なモデルが展示されていました。
写真は「バタフライ」の愛称で呼ばれる「ThinkPad 701C」。キーボードのギミックが特徴的な、今となっては伝説のモデルともいえる製品です。
このほか、初代 ThinkPad である「PS/55 Note」(ThinkPad 700)から「ミラージュ・ブラック」の ThinkPad s30 まで、数多くの ThinkPad が展示されていました。
こちらが ThinkPad 10 周年記念モデル「ThinkPad X30」。私も実物を見るのは初めてです。
基本的に ThinkPad X20 シリーズの流れを汲むモデルですが、X2x よりもちょっぴり小型化されていたり、30 番台の ThinkPad デザインにリファインされていたりと、X2x からの進化のあとが見られます。
記念モデルの証である、ピアノ調の「ミラージュ・ブラック」ボディ。風景が映り込んでいるのは、決してショーケースのガラスだけではありません(^^;
本体後部には X30 で復活したパラレルポートも見えますね。
天板のスミに記されている「10th Anniversary Limited Edition」の文字。全世界で 2,002 人しか所有できない、誇りの文字列です。でも却って使うのがもったいないかも・・・。
液晶ヒンジ部にはシリアルナンバーが。写真は展示機ということで「0000」のナンバーが入っています。
Web 予約で既に 1,500 台は捌けてしまい、残りはこの WPC EXPO と若干数が販売店にも回されるようですが、かなり競争率は高かった模様。この限定仕様とかシリアルナンバーとか、やっぱりソソりますよね。仕様としては今後数ヶ月のうちに出てくる Banias 搭載機「X31」の方が高いことは明らかなんですが、それでも欲しいと思ってしまいます。
ちょっと残念な点が。パームレストが普通のプラスチックになってしまったんですねー。
個人的には X2x のスエード調塗装がなされたパームレストの質感が気に入っていたので、プラスチックになってしまったのにはかなりがっかりです。確かに、汚れやすいとか塗装が剥げやすいという欠点があり、パームレストの塗装については賛否両論だったようですが、でも私としては残念です。
ThinkPad の機能として、セキュリティ機能やワイヤレス機能について紹介するコーナーもたくさんあったのですが、セキュリティのコーナーでは「チャレンジ セキュリティ」と銘打って ThinkPad のセキュリティ機能を破ってみよう!というイベントが行われていました。ThinkPad のセキュリティを破って対象ファイルの内容を解読できた人には、好きな ThinkPad を 1 台プレゼント(っていうか無理)。チャレンジに失敗しても、噂の「モスキート」(「バタフライ」のミニチュアプラモデル)がもらえるというもの。
私は・・・残念でした。挑戦権すら手に入れられず(泣)。

ThinkPad は X30 はともかく X31 以降の機種はかなりよさげな感じなので、X31 か X32 のタイミングで仕事マシンも X21 から買い換えようかな、と思っています。Intel 自身、Mobile Pentium 4-M 搭載機の一部を Banias でリプレースしようという戦略に転換し始めたようですし、Banias のパフォーマンスについてはかなり期待していいということでしょう。

Tablet PC は今回初めて体験しましたが、思ったより悪くないんじゃないの?というのが正直な感想。注目度もかなり高まっているようで、私自身今までほとんど気にかけていなかった Tablet PC ですが、ちょっと改めなければならないかな?と思い始めました。
「手書き入力可能な PC」というと、今まではどうしても「手書き文字認識」というところに意識が行きがちで、それに対する最適解がどこのメーカーからも提示されなかったためになかなか製品として成立しなかったというこれまでの経緯がありましたが、どちらかというといろいろなドキュメントファイルやプレゼンテーションファイル等に手書きで赤線や矢印を書き加えてコラボレーションの助けにしたり、ドキュメントの表現力を高めるためのツール、という考え方で使うことに適しているように思います。
ただ、問題はやはり価格になるでしょうか。あくまで「欲しいマシンの選択肢の中に TabletPC としての機能がついていれば、積極的に選択したい」ということであって、最初から「Tablet PC が欲しい」ということはなかなかないと思います。「Tablet PC として」売り出され、「Tablet PC として」の価格設定がなされた製品だとやはり普及は難しいのではないでしょうか。マイクロソフト自身が本気で Tablet PC の普及を考えているのなら、PC ベンダーに多少のリベートを支払ってでも販売価格の引き下げを行わなければいけないような気がします。

というわけで、今回の WPC EXPO は「Tablet PC」と「ホーム AV ネットワーク」が重要なキーワードとなっていました。が、「ホーム AV ネットワーク」という観点では VAIO が一足先にパラダイムを進めていますし、Tablet PC に関しては個人的にそれほど重要視していなかったこともあって、思ったほど収穫はなかったかな、というのが感想です。しかし、各メーカーが確実に「ホーム AV ネットワーク」ということを考え、本気で取り組もうとしていることが分かったことは良かったですね。来年の WPC EXPO で、この分野における現在の勢力図がどのように書き換えられているか、ちょっと楽しみになりました。

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