VAIO Column 特別編 「Do VAIO World 2004」レポート
「Do VAIO World 2004」レポート
続いて、V505 の後継と言えそうなモバイルノート「type S」のインプレッションです。
今回の展示会では、type U と VAIO pocket 以外の機種はそれぞれ 2 台ずつしか展示されていなかった(しかもほとんどが 1 台は少し分かりにくいところに展示されていた)ため、type S のように注目度の高い機種はなかなか触ることができず大変でした。数少ないモバイルノートということで、この type S については VAIOethics 的にはかなり気になっているお客さんも多いでしょうから(笑)じっくりお届けしたいと思います。
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VAIO type S。・・・ようやく我々は、あの V505 から解放されました(ぉ まあ V505 も世代を重ねるごとに徐々にバランスが取れていきましたが、やはりあの製品に「505」の型番がつけられたことを許せなかったユーザーは多いのではないでしょうか(笑)。今回のモデルチェンジでは「超物欲刺激系」とまではいきませんが、比較的シャープにまとまりつつバランスの取れた良いモバイルノートに仕上がったと思います。性能だけでいったら type A に近いところまでいけてしまいますから、メインマシンの買い換えを考えているユーザーもターゲットにし、非常に懐の深い製品なのではないでしょうか。

ハードウェアボタンは type A に比べると少ない代わりに、プログラマブルボタンが 2 つ備えられています。これはモバイルノートということで、公共の場やビジネスでの使用も考えて常にミュート状態にするケースが多いためあえて音量調節やミュートボタンをつけていないということでしょうか。モバイル重視かホームユース重視かによってプログラマブルボタンに割り当てる機能を輝度調節だったりボリューム調節だったりに切り替えてください、ということだと思います。


キーボードはぶっちゃけ、好きになれなかった V505(ぉ のものとは違いかなりオーソドックスなものになりました。タッチは type A よりは劣るけど V505 や X505 のように変わり種(笑)のものが多かった最近のモバイル系 VAIO に比べて普通に打ちやすいです(ぉ 個人的には type TR のキーボードよりも好みかな。
あと推しておきたいのがカーソルキーが大きく変わったこと。今までは長方形のキーボードユニットに押し込められていたカーソルキーが、ThinkPad のカーソルキー同様一段下げられました。カーソルキーがこうなっているかどうかで操作性がずいぶん違うので、これは素直に嬉しいですね。できることならば他の VAIO ノートにも早く採用してほしいものです。

細かいことですが、左 [Ctrl] キーの下にエンボスの SONY ロゴを発見。こういうこだわりを見るとやはり嬉しくなってしまいますね。今回のモデルチェンジから「SONY」ロゴよりも「VAIO」ロゴの方が前面に出てきて、SONY のロゴマークがあまり目立たなくなっていましたが、こういうところでロゴを発見するとちょっとニヤリとしてしまいます(笑。
ワイド画面に合わせてタッチパッドもワイドに。
昨年のモデルではタッチパッドと周辺部に段差がないものが採用されていましたが、今年のモデルは段差は少ないものの普通のタッチパッドに変更されているのはコストの問題でしょうか?まあ、多少段差があった方が安心感がありますが(笑
クリックボタンはデザイン上のアクセントを狙っているのか光沢感のあるものになっています。個人的には、指紋がつきやすいのでちょっと・・・(^^;
13.3 インチ WXGA(1,280x800)のワイド液晶。type A を見た直後なので強烈な印象こそありませんが、やはりワイド液晶は見通しが良く使い勝手が良さそうです。従来の 12.1 インチ XGA(1,024x768)に比べて横だけでなく縦も広がっていることもそう感じさせるのかもしれません。欲を言えば 1,536x960 まで使わせてくれれば文句ないのですが、表示される文字サイズのことも考えるとこのあたりが良い落としどころなのでしょうね。でも、VAIO Z シリーズを狙っていたユーザーに訴求するなら 1,536x960 程度のモデルもやっぱりラインナップには欲しいかも。
液晶ヒンジ周りのデザインはこんな感じで処理されていて、昔の SR シリーズのように液晶部分が少し下側に回り込む感じになっています。少し重心が低い印象になるので、他機種に比べてスポーティなイメージになりますが(「type S」ですしね^^;)、連続感という意味では type A のように開いたときに底面からの曲線が液晶パネルに繋がっていく感じの方が美しいんですけどね。
今回の VAIO ノートはこんな感じで曲線を使ったデザインの製品が多いのも特徴ですね。


光学ドライブ(9.5mm 厚の DVD-RW ドライブ)はこのように左パームレスト下部から手前に引き出されるようになっています。V505 では横にイジェクトされるようになっていましたが、やはりモバイルでは TR のように手前に出る方が利便性が高いということでしょうか?電車の中で横向きにトレイが出ることの迷惑さとかを考えるとやっぱりそうなるのかな。
写真ではちょっと見えにくいですが、光学ドライブの右隣にはメモリースティックスロットがあります。



VAIO ロゴのあしらわれた天板。type S は上下 2 面にマグネシウム合金が使われています(内側は樹脂製)。
ブラックに塗装されたマグネシウムは少し指紋が目立ちますし、ちょっと黒すぎて飽きが来るかも。X505 ノーマルモデルのような柔らかいブラックだと上品で良かったのですが、あれはカーボンモールドなのでそもそも素材の質感が違いますからね。マグネシウム×ルミナスミラーロゴよりもカーボンモールド×ブラックルミナスミラーロゴの方が高級感があって良いのですが、type S まで \40 万とか言われても困るので(笑)でももう少し違うカラーバリエーションやロゴパネルでのデザインも見てみたい気がします。



閉じたときの薄さはこんなもんです。決して「薄〜い」わけではないですが、まあ 2 スピンドルモバイルノートとしては悪くない厚さでしょう。重量も、バランスがいいのか V505 比で 100g 程度しか軽くなっていない(1.89kg)割には軽く感じました。
本体両サイドにはけっこう細かいところにまでスリットが入れられていて、狭い筐体内でできる限り排熱効率を上げようとしている努力が垣間見られます。type A に匹敵する性能(CPU、GA)から生じる熱をこの筐体で捌こうとするとこれくらいやらなくてはならないのでしょうね。


本体底面。比較的フラットではありますが、背の高いゴム脚がついているので平置きしたときの高さはそれなりにあります。これも本体がかなり厚くなるので机との隙間をなるべく稼ぎたいという狙いがあるのでしょうか?だとすると、膝に乗せて使うのはちょっと厳しいのかもしれませんね・・・。
メモリースティックスロットはこんな感じで実装されています。
ちょうどパームレストから下向きにカットされている曲線の中にスロットが収められているので、手探りでの抜き差しはちょっとしにくいかも。でも、左側面に映像/音声系の入出力端子、右側面に拡張系のポート、前面には光学ドライブやメモステといったメディアスロット、という風に機能のもつ意味ごとにブロックが区切られているということは理解できます。このあたりの機能配置に関する思想は、昨年の X505 あたりからの流れでしょうか?

type S は、メインマシンとして使える性能をモバイルノートの筐体に凝縮し、ワイド画面化によって AV としても PC としても使い勝手の幅を広げたなかなかよくまとまったマシンであると思います。が、PCG-Z1 シリーズを廃してモバイルは type S と TR のみになったことや、1.89kg という「決して軽くない」重量は、逆に PC としては「帯に短したすきに長し」になる可能性も孕んだ難しい位置付けという見方もできるかもしれません。
また、AV 色の強くなった今回の VAIO ラインナップのなかで最もビジネスシーンを意識した製品であり、ある意味最も「普通のノート PC」に近いまとまり方になっているとも思います。VAIO はもはや「普通のノート」では勝負しない、みたいな勢いも今のラインナップからは感じますが、この type S のようなノートを用意する余地があるのならば、やっぱり 1 スピンドルを待っている多くのユーザーのためにひとつ、用意してやってほしいのですが・・・。
→パート 4 - type E

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