Cyber-shot Laboratory Cyber-shot DSC-U50
Cyber-shot DSC-U50
電源スイッチを兼ねたレンズバリアという特徴はなくなったものの、回転レンズになって使い勝手や楽しみという面では格段に向上した U50。では、旧モデルと比べて画質はどのように変化したか?を確かめるため、同じ条件下で DSC-U20 と DSC−U50 を撮り比べてみました。
なお、掲載した画像はサーバ容量の都合上 Photoshop を使ってトリミングおよびリサイズを施し、低圧縮率(レベル 8)で保存していますが基本的に色調補正やレベル補正は行っていません。カメラの設定は全てデフォルトの状態で、最大サイズで撮影しています。
※各画像をクリックすると大きい画像が表示されます。

DSC-U20
DSC-U50

まずは、色味から。
U20 と比べると分かるのですが、U20 は若干赤みがかった色になっています。少し赤が入った方が鮮やかに見えるためそういうセッティングになっているのか、U20 の CCD の特性がそうなのかは分かりませんが、確かに鮮やかっぽく見えるものの実際の空の色に近いのは U50 の方です。抜けの良い青色になっています。やや建物や雲の色が青被りしているのが気になるといえば気になりますが・・・。

DSC-U20
DSC-U50

この写真では木の陰が作っている暗部に注目してみてください。U20 では潰れてしまっている影の部分がある程度立ち上がっているのが分かるでしょうか?暗部ノイズの乗りは相変わらずですが、それでも暗部の階調表現が向上したことは確認できると思います。

DSC-U20
DSC-U50

噴水を撮影したら偶然撮れてしまった虹。画質評価とはあまり関係ありませんが、気に入ったので載せてみます(笑
建物や雲の色は、赤被りしている U20、緑被りしている U50 のどちらも実際の色とは少しずつ異なっていますが、U50 の色の方がどちらかというと実物に近い印象です。ま、これは確認するモニタの特性によっても異なるので一概には言えませんけどね。

DSC-U20
DSC-U50

これが今回撮影した中で最も違いが出た一枚。光源を直接撮影したのですが、U20 では光源の周辺部が盛大に破綻してしまっています。U50 ではレンズ周辺部で明らかに色が化けてしまっていますが、U20 ほど壊れることなく、スミアもほとんど発生していません。太陽を直接撮影するということはまずないでしょうから、多少光源を構図に入れて意図的にフレアを発生させたいときなんかは U50 でないとダメということになりますね。暗部の捉え方といい、U50 の CCD の方がダイナミックレンジが広いということなのでしょうか?
・・・っていうか、U20 のレンズ汚れまくりだなあ(ぉ

DSC-U20
DSC-U50

いろいろなものが写り込んだ一枚。細かいところをピクセル等倍で切り出したのが以下の画像です。

DSC-U20
DSC-U50

U20 はシャープネスがきつく、輪郭はハッキリするかわりに場所によっては色収差やモスキートノイズが発生しやすいという欠点を持っていました。U50 ではシャープネスは抑えられ、良く言えばソフトフォーカス気味、悪く言えば若干ピンぼけの画像になっています。斜め線のジャギーがいくらか軽減されているのが分かるでしょうか?
木の葉などの細かい部分での解像感のなさや、空のグラデーションに乗ってくるノイズの多さは、このクラスでは致し方ないところでしょうか。レンズもレンズですしね・・・。

DSC-U20
DSC-U50

彩度が高く、かつ多少寄りめの一枚。U50 の方は暗部を持ち上げながらもある程度落ち着いた画になっています。彩度の高い部分での色滲みも、U20 に比べれば少なめ。ただ、やはり真っ昼間の日向ではちょっとしたところでも白飛びしてしまう傾向は変わっていませんね・・・。

ざっとこんなところでしょうか?解像感など基本的な部分では従来の U シリーズから変わっていないものの、より素直で扱いやすい画作りに変わってきていると思います。U30/U60 をじっくり使ったことがないため、これが U50 からのものなのか、U30 の世代で改善されたものなのかはハッキリとは分かりませんが。ただ、CCD や画像処理エンジンもほとんど変わっていないのかと思いきや、少しずつ改良が進められていることは確かだと思います。
あと、U50 で大きく変わったのは起動時間。従来の U シリーズでは大容量のメモリースティックを使用するとそれだけ起動に時間がかかり、128MB メモステを使うとそれこそ 5 秒くらい待たされたものでしたが、U50 ではメモステの容量に関わらず高速に起動します。これは、新しい紺メモステ Duo の読み出し速度が高速だからではなく、従来の白 Duo 64MB などで試しても全く変わらなかったので、電源投入時のカメラ初期化のアルゴリズムが根本的に見直された結果ということができるでしょう。これまでは、高速起動のためにあえて 32MB 以下のメモステを使うことが Cyber-shot U 使いこなしのコツとされてきましたが、これからは大容量の Duo を挿しっぱなしで使えるようになった、ということです。というか、これまでの仕様がダメすぎただけなのですが・・・(笑

・・・といったところです。当初大差ないだろうと思っていた両者の画質が、ここまでハッキリと認識できるくらい違っていたというのは個人的にはちょっとした発見でした。やはり、カメラ付き携帯電話のスペック面での追い上げを受けて、数字に表れない画質の違いや使い勝手の面で携帯電話との差別化を行っていこう、というのがこのクラスのデジタルカメラの命題なのでしょうか。個人的には、メガピクセルクラスのカメラ付きケータイといっても、実際の画質でいえば昔の 35 万画素デジカメ並みでしかない、と思っているので、当分携帯電話がコンパクトデジカメの代替とはなり得ないのですが、ライトユーザーの観点でみればその限りではないでしょうし。
ともあれ、画素数が低い割に雰囲気のある画が撮れる Cyber-shot U の特性は、よりダイナミックレンジの広くなった CCD や風合いを残すようになった画像処理エンジンによって、より好もしいものになってきたなという印象があります。マクロ撮影の性能が求められるブツ撮りや、本気モードでの風景写真にはさすがに辛いモノがありますが、ちょっとしたポートレートやそれこそ Cyber-shot U の掲げる「ビジュアル・ブックマーク」により相応しい画質、そして機能を身につけたといえるのではないでしょうか。気軽に写真を撮ることを、より楽しくしてくれたデジカメだと思います。願わくば、後継機種ではこの面倒なレンズキャップに対する何らかの解決策を見出してほしいところです。

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