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新 CoCoon「NDR-XR1」「NAV-E900」インプレッション |
続いては「CoCoon ホームシアターシステム NAV-E900/E600」です。発表までノーマークだった分、個人的にはハイブリッドレコーダよりもこっちの方が気になっていたりします。いろいろと希望をあげるとキリがないのですが、なかなか面白そうな製品でした。
内蔵 HDD からのオーディオデータのチェックアウトは、非サポートながらネットワークウォークマンでも可能なようです(ネットワークウォークマン側で公式にはサポートしていない模様)。でもあくまで「保証外」なので、ネットワークウォークマンの利用は自己責任でよしなに、という感じです。 PCM で取り込んだオーディオデータをリアルタイムで ATRAC3 に変換しつつチェックアウト、といった芸当はできないようなので、チェックアウト用は初めから ATRAC3 で取り込んで、高音質な PCM フォーマットは付属スピーカで楽しむもの、という割り切りが必要になります。そのわりにはオーディオ用に使える HDD 容量が 20GB 弱しかないのは淋しいですね・・・。この製品では TV 録画もサポートしているため、HDD 領域が混在だとフラグメントが発生しやすい(ビデオデータとオーディオデータではファイルサイズが違いすぎるため)ことを理由に HDD はパーティショニングされてしまっているのですが、「Open Key Style」でオーディオ機能のみ購入して TV 録画は要らない、という人にとってはなんとも納得のいかない仕様ですよね。用途によってパーティション構成を選択できるような仕様にはならないものでしょうか。 HDD ジュークボックスの音質は良好。動作音がけっこう耳についた CoCoon チャンネルサーバーとは違い、静音性にも気を配って作られているようなので(デモ環境は周囲がうるさくてどの程度静かかは判断できませんでしたが)純粋に「音楽を聴くための環境」としては悪くないと思います。しかし、どちらかというと DVD 等のマルチチャンネル AV ソース向けに作られたスピーカセットなので、ピュアオーディオとしての音質を追求する用途には向かないでしょう。が、この CoCoon の目指すところである「イージーに、なおかつ常に音楽と共にある生活」といったコンセプトには十分耐え得るレベルの音は出ているように思いました。 また、PC を持ち出さなくても CoCoon のみで Net MD や MG メモリースティックに音楽データをチェックアウトできるのはやはり便利ですね。今までネットワークオーディオといえば PC が必須というイメージがありましたが、今後はこういった専用機にオーディオデータを溜め込んでおいて、手軽にチェックアウトできる機器が増えてくるのではないでしょうか。個人的には NAV-E900 の中でこの HDD ジュークボックス機能+チェックアウト機能がいちばん気に入りました。 しかし、これは現行の CoCoon 全機種に共通していえることなのですが、操作時の反応速度の遅さはいかんともしがたいですね。CSV-E77 の毎度ワンクッション置いた感じの反応速度にもけっこうイライラさせられましたが、NDR-XR1 と NAV-E900 のデモ機ではそれ以上に反応が鈍い(特にアプリケーションの切り替え時)という印象を受けました(製品版では改善される可能性がありますが、発売までの時間を考えるとあまり期待はできなさそうです)。PC 的に考えると CPU が遅いとかメモリが足りないといった原因が考えられますが、CPU の動作速度と発熱・静粛性はトレードオフの関係にあるので、AV 機器としては単純に処理性能を高めれば良いというわけにもいかず、難しいところなのでしょう。でも、汎用機でもないのに動作が鈍いというのはちょっと許せない部分ではあるので、何とかしてほしいですね。ATRAC3 のエンコードが遅いのはソフトウェア処理だからでしょうが、「Open Key Style」で購入されるかどうかも分からない機能のためにハードウェアエンコーダを搭載してコスト高になっていいのか、といった問題もあり、これまた難しい問題です。 個人的には、その辺をクリアするにはやっぱり ATRAC3 DSP はハードウェアで搭載して、ジュークボックス機能に特化した単体デッキ版 CoCoon を出してくれれば言うことないんですが。 今回、新製品を体験してみて感じたのは、「CoCoon」ということで基本的なコンセプトや画面のイメージなどには共通の約束事があるものの、実現できる機能に差異があったり(共通であるはずの「TV 録画」という部分を取ってみても、三者三様に使い勝手が全然違う)、操作性が異なったりして必ずしも同じブランドの製品であるとは思えなかったことでしょうか。例えて言うなら、同じ Linux でも別々のディストリビューションを使っているような、そんなイメージでした。 おそらくこれは「Linux を搭載したネットワーク家電」というキーワードと共通のプラットフォーム(MontaVista Linux)および基本 UI だけが与えられ、別々のチームが開発したものを寄せ集めて「CoCoon」という名前をつけたせいで、このように統一感のない製品になってしまったのではないでしょうか。この点は、非常に残念に感じています。しかし、言い換えればこの 3 製品(CSV-E77、NDR-XR1、NAV-E900/E600)が出揃った現在がようやく「CoCoon 第一弾」が出揃い、ブランドとしてのスタートラインに立つことができた瞬間、ということができそうです。これから、それぞれの製品間で各機能の共通化を図り、アイディアを出し合って「CoCoon」というブランドを作り上げていく作業が始まるのではないでしょうか。 2002 年までで ADSL 市場は完全に立ち上がり、今年は FTTH 元年になるとも言われています。さらに年末には地上波デジタル放送のサービス開始を控え、来年の今頃は「ネットワーク対応デジタルレコーダ」が花開いていることでしょう。「CoCoon」の最初のターゲットは、一年後のニューモデルになるのではないでしょうか?気の早い話ですが、そのあたりを見据えてこの先しばらくのデジタルレコーダ市場を見守ってみると、「買い時」の判別がしやすいのではないでしょうか。 |
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