VAIO Laboratory シリコンオーディオ VAIO Music Clip
シリコンオーディオ VAIO Music Clip
世界初のポータブル MP3 プレイヤー、「mpman」が発売されて 2 年余、Diamond の「Rio」や Creative の「NOMAD」など様々なプレイヤーが発売され、徐々にポータブル MP3 プレイヤーも普及し始めました。しかし、オーディオ機器メーカーから製品が出ていなかったためなかなか一般的に認知されなかったのですが、そこにきてオーディオ・家電業界の巨人ソニーが「メモリースティックウォークマン」及び「VAIO Music Clip」を発売し、にわかにオーディオ機器の新しいカテゴリとして認知され始めました。
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VAIO 専用周辺機器「VAIO GEAR」シリーズの 1 種として発売された「VAIO Music Clip MC-P10」。ポータブル MP3 プレイヤーである以上「メモリースティックウォークマン」と似たような性格を持っているのですが、Music Clip は内蔵メモリのみ、メモステウォークマンは MG メモリースティックという大きな違いがあります。また、ハードの開発も Music Clip は VAIO 部門、メモステウォークマンはステレオ部門と出自は全く違うようです。
本体は、ちょっと太めのマーカーくらいの大きさ、というか、単三電池 2 本を縦に並べたのと同じくらいの大きさで非常にコンパクトです。ただ四角くて小さいというのではなく縦長というスタイルが斬新で、かつさらにコンパクトさを強調しているような気がします。
イメージとしては、同社の MD ウォークマンのスティックリモコン、これをちょっと大きくしたような感じです。しかし、どうせならヘッド部を回転させて再生、送り戻しができるという操作感を再現してほしかったです。ボタン類は最小限しか付いておらず、しかもちょっと押しにくいですね。
付属品として、インナーイヤータイプのイヤホンと本体を首からさげるためのネックストラップ、USB ケーブル、「OpenMG Jukebox」ソフトウェアが付いています。しかし、付属のイヤホンはあまり音がいいとは言えないため、私はこれにソニーのネックバンドヘッドホン「SRS-G82SL」(写真)を合わせて使っています。このヘッドホンがまた VAIO カラーっぽくて非常にマッチするんですよね。本体よりもヘッドホンの方が大きいというミスマッチもナイスです。
液晶部は、ボタンを押すとオレンジ色にバックライトが光るようになっています。本体との色あわせがカッコイイですね。ちょっと VAIO MX の液晶パネルを彷彿とさせるものがあります。
この液晶画面、本当に最低限のものしか表示されません。まあ本体の方もオーディオプレイヤーとしては低機能な部類なので仕方ないのでしょうが。
ここが「Music Clip」の名前の由来になったと思われるクリップ部です。本体自体すごく小さいので、従来のウォークマンだったら本体をカバンに入れてリモコンを胸に留める、という使い方だったところを Music Clip では本体を胸ポケットに入れたり手で持ったりする感じになると思います。
しかし、残念なことに胸ポケットに入れてクリップを留めると本体が人に見せびらかせなくなってしまう(笑)。また、私は付属のストラップで首からさげるのは却ってカッコ悪いと思いもっぱらクリップを使っています。やっぱり「Music Clip」ですし。
付属のソフトウェア「OpenMG Jukebox」。メモリースティックウォークマンなどに付属しているのと同じものです。このソフトがこの製品の一番の不満点かも・・・。
エンコード速度が遅かったり、細かい使い勝手が悪いなど不満点はたくさんあるのですが、一番痛いのがファイルのバックアップや PC 間のデータ転送ができない点。著作権保護が大事なのはわかるけどハッキリ言ってユーザーに優しくないですね。これだと Music Clip が実質一 1 台のマシンでしか使えないですし、それ以上に HDD をフォーマットすると曲データも消えてしまうんです・・・。

で、結局いろいろ使ってみたんですが、とりあえずは VAIO でなくても使えました。自作機の方では Win2000 だと動作保証外なので当然使えなかったのですが、Win98 だと全く問題なく使えています。公式には VAIO のみサポートということですが、説明書を見たら推奨環境とかは書いてあっても「VAIO じゃないと動きません」というようなことは書いていなかったので大抵の PC で動くと思います。USB ハブも動作保証外なのですが、私の持っているセルフパワードハブ(ソニー UH-1000)では動作しているのでバスパワーのハブでなければ大丈夫でしょう。
音の方は悪くないですね。ニア CD レベルというのも納得できます。 ディスクじゃないから振っても音飛びしないですし。MDR-G82SL との組み合わせもバッチリです。まあ、起動時にちょっとノイズが乗るのでこれはちょっと気になるんですが・・・。
電池の方は、単三電池 1 本で 5〜6 時間くらいは持ちます。普通に考えて通勤・通学に使うなら週に 2 回くらい電池交換が必要です。1 日に何回も交換する必要がないのはまあいいんですが、単三電池 2 本で数十時間の持ちを誇る最近のポータブルオーディオプレイヤーに比べるとやはり見劣りしてしまいますね。このあたりは世代交代とともに解決していくんでしょうが。
あと、不満な点をいくつか。まずはエンコードに時間がかかる。私が普段 MP3 のエンコードに使っている「午後のこ〜だ」+「cd2wav」に比べると圧倒的に遅いです。MP3 から ATRAC3、OpenMG MP3 へのコンバートもあまり速くないですし。VAIO から Music Clip へのデータ転送はそれなりに満足いくレベルなんですが、エンコードが遅いのでちょっと使いづらいかも。今まで作りだめした MP3 データも一度コンバートしないと使えないですし。このあたりはソフトのバージョンアップで改善して欲しい点だと思います。
あと、Music Clip 本体の機能は必要最低限のものしかついていません。早送り・巻き戻しも曲の頭出しにしか使えない上に、これからの MP3 プレイヤーに必須ともいえるタイトル表示ができないのは、分かってはいたもののやっぱり不便ですね。
で、やっぱり一番納得いかないのは MP3 ファイルのバックアップに対応していない点。手持ちの CD ならば面倒だけどエンコードし直せばすむんですが、ソニーがオンライン音楽配信システムとして推す「bitmusic」からダウンロードした曲も消えてしまうんです。これでは bitmusic を利用する気にはなれませんよね。これは早急に何とかして欲しいところです。これが何とかならない限りは私は bitmusic は利用しないでしょう。
まあでも全体的にモノはいいんじゃないでしょうか。特にこのデザインだけでも買った意義があるかもしれません。これで、2 世代後くらいの機種が機能的にもこなれて \20,000 くらいで買えるようになるといいんですけどね。あとは OpenMG Jukebox のバージョンアップに期待というところでしょうか・・・。

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