VAIO Laboratory PCV-J10 の CPU 換装とメモリ増設
PCV-J10 の CPU 換装とメモリ増設
えー、メインの CPU 換装です。案外簡単にできちゃいますよ。
※各画像をクリックすると大きい画像が表示されます。

これが今回換装する CPU、Intel Celeron 700MHz。リテールパッケージなのでファン(山洋電気の OEM)とCeleron のロゴシール、あとメーカー保証書が付いてます。
購入価格は約 \10,000。700MHz がこの価格で買える時代になりましたかー、なんか感慨。
Celeron 700MHz は Coppermine-128K コアなので SSE にも対応しています。128KB の CPU クロック等速 L2 キャッシュなど、動作周波数と SSE 以外の基本仕様は元々入っていた Mendocino コアの Celeron 500MHz と同じですが、Coppermine Pentium III と同じく 0.18μm プロセスで作られています。Mendocino は CPU コアがアルミの外装で覆われていましたが、Coppermine 系は蒼いコアが剥き出しになっています。きれいなのですが、逆にヒートシンクを取り付けるときなどは丁寧にやらないとコアを欠けさせてしまったという話も聞くので気をつけなくてはなりません。
CPU の裏側。Pentium III を思わせる「III」のローマ数字をかたどったように、14 個のキャパシタが並んでいる様(といっても Celeron の場合、9 個は空きパターンですが。FC-PGA 版 PenIII では 14 個全部埋まっています)がかっこいいですねえ。
Socket370 に挿さっている Celeron 500MHz をおもむろに外し、Celeron 700MHz に載せ換えます。一応 Celeron 500 は PPGA、Celeron 700 は FC-PGA とパッケージが微妙に違うため、Socket 側で対応していなければ FC-PGA の CPU は載らないのですが、J10 のマザーボードは電気的には FC-PGA に対応しているようで、載せ換えるだけで問題なく動作します。
CPU コアにシリコングリスを塗り(付属のヒートシンクの裏に予め熱伝導シートが貼られていますが、個人的にシリコングリスの方が良いような気がするのであえて剥がしてシリコングリスを塗っています)、ヒートシンクを取り付けます。この付属のヒートシンクを固定するレバーがやたら固く、狭い筐体で Socket370 の 爪に引っかけるのに苦労しました。いくら工夫された筐体とはいえ狭いことには変わりありません。ヒートシンクを取り付けられた頃には、私の手は傷だらけに(笑)。
あとはファンの電源ケーブルをマザーボード上のコネクタに接続するのをお忘れなく。Celeron とはいえ、これをやらないと熱暴走必至です。
CPU の換装が終わったら、組み立て直して電源 ON。
BIOS 画面(写真がぼけててごめんなさい)では「Pentium III 700MHz」と認識されています。これはおそらく BIOS が対応していないため、コアが同じ Coppermine の Pentium III と誤認識しているのが原因なのですが、PenIII の方が気分がいいのでこれはこれで良いかも?(^^;
ちなみに 2000/11 現在 PCV-J10 のアップデート BIOS は公開されていないため、このまま使うしかありません。実用上問題ないからいいんですけどね。
で、「システム情報」ではこのように認識されています。こちらでも「Pentium III」として認識されていますが、L2 キャッシュが 128KB と表示されているので間違いなく Celeron です。
取るものも取りあえず、HDBENCH。
本当は改造前も取っておくべきでしたが、すっかり忘れていて取っておりません(^^;というわけで、改造前の J10 のデータを by310 さんからいただきました。どうもありがとうございました>by310 さん
★ ★ ★ HDBENCH Ver 3.22 (C)EP82改/かず ★ ★ ★
Processor(改造前)Celeron 501.06MHz[GenuineIntel family 6 model 6 step 5]
Processor(改造後)Celeron 701.45MHz[GenuineIntel family 6 model 8 step 6]
CacheL1_Data:[16K] L1_Instruction:[16K] L2:[128K]
VideoCardIntel(R) 810 Chipset Graphics Driver PV 2.2
Resolution1024x768 (24Bit color)
Memory259,924 KByte
OSWindows 98 4.10 (Build: 2222) A
SCSI = Adaptec AHA-2930CU PCI SCSI Controller
HDC = Intel 82801AA Bus Master IDE Controller
HDC = プライマリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)
HDC = セカンダリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)
A = GENERIC NEC FLOPPY DISK
CDE = GENERIC IDE DISK TYPE47
F = GENERIC IDE DISK TYPE47
G = MELCO DSC-UE8.3G Rev 1.05
Q = LITEON CD-ROM LTN483S Rev POS2
  ALL Integer Float MemoryR MemoryW MemoryRW DirectDraw
PCV-J10 13632 20085 21113 7412 9418 10945 6
PCV-J10改 13812 27955 29395 6991 8191 10727 9
  Rectangle Text Ellipse BitBlt Read Write Copy Drive
PCV-J10 9326 3101 1253 59 20875 19522 14880 C:\20MB
PCV-J10改 9775 9920 1677 40 8589 17458 22416 C:\20MB
HDBENCH はけっこう環境に左右されやすいベンチマークなので、CPU 以外の値の差ははあまり気にしないでください。
CPU を交換し、RAM を 64MB 増やしただけなので、それほど劇的に速くなったというわけではないですが、CPU の処理スピードは順当に上がっていると思います。しかし相変わらずビデオ性能が低いですね。これはビデオ機能が i810 チップセット内蔵のグラフィック機能なので、もともとあまり期待ができない部分ではありますが。メインメモリの一部をビデオメモリとして使用する「UMA」という方式を採用している i810(というか、 i810 はローカルのビデオメモリもサポートしていますが、J10 では UMA 方式を採用)ではビデオメモリのバンド幅が足りないため、メモリや CPU を強化してもこれ以上のスピードアップは望めません。この J10 は仕事機なので関係ないですが、どうしても 3D ゲームをバリバリやりたいというのならば PCI 接続の Voodoo3 や RIVA TNT2 クラスのビデオカードを別途用意した方が良いと思います。

というわけで、J10 も SSE 対応 Celeron 700MHz が入ったことで J12 と遜色ないスペックまで持ってこれました(HDD は内蔵 30GB、メモリは 256MB になっていますし)。CD-RW が内蔵されていませんが、SCSI 接続で TEAC の「CD-R6240S」が入っているので問題ありません。これで J10 も J12 に勝てるかも(^^;
体感速度は確かに速くなっています。SSE もサポートされたため、3D ゲームや Photoshop などでベンチを取ってみるとそのあたりの効果も分かるかもしれませんね。
改造してみて分かったのは、J10 は他のデスクトップ VAIO と違い、案外標準的な AT 互換機であるということ。i.LINK のカードが入っている以外、特に変わったパーツは入っていません。メンテナンス性の高いケースと相まって、さらに改造のベースマシンとしての資質の高さを見せてくれているような気がします。確かに安いなりにかなり良いマシンだと思いますよ、J10。

[Back] [Back to Top Page] Copyright (c) 1999 - 2005 Brown Sugar. All rights reserved.