VAIO Laboratory 505EX/64 のメモリを増設してみる
505EX/64 のメモリを増設してみる
PCG-505EX/64 は PCG-505EX のメモリを 64MB 化して Win98 への無償アップグレード権をつけて発売されたモデルであり、メーカー保証の範囲内での最大メモリ容量は標準搭載の 64MB 止まりです。しかし、サードパーティ製のメモリを増設することによって 96MB までは問題なく増設できます。とはいえチップセットの仕様やサスペンド機能などにより多少の制限や設定の必要があります。今回はそのあたりも含めてレポートしてみたいと思います。
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私が購入したのは、ハギワラシスコムの「HWD-VA64」。64MB のメモリ(32MB x2)で、オンボードの 32MB と合わせて 96MB になります。一時はメルコや ADTEC などからも発売されていましたが、これらはもう流通していないようです。このハギワラシスコム製メモリもおそらくもうほとんど入手不可能でしょう。
よく似た製品で「HWD-VA64SU」というものがありますが、こちらは 505GX 以降のモデル用の SDRAM を搭載したモジュールです。初代 505 から 505EX/64 の世代までは EDO DRAM を利用しているため、SDRAM を利用したメモリモジュールは利用できないので注意が必要です。
これが「HWD-VA64」のモジュール本体。メモリチップにシールが貼ってあるため、どこのメーカーのチップなのか分からないのが残念です。まあ、特に FSB のクロックアップを行っているわけではないので特にチップメーカーにこだわる必要もないのですが。
メモリチップは 1 つあたり 16MBytes、つまり 128Mbits のメモリチップを利用しているようですね(たぶん)。メモリ基盤のデザイン自体は純正品のコピーのようです。
メモリの交換作業は至って簡単。プラスドライバ 1 本、3 分でできちゃいます。
まずは本体を裏返して(当然電源は切っておく必要があります。AC アダプタ、バッテリも外しておくべきでしょう)メモリスロットの蓋を留めているネジを外し、蓋を外します。
メモリスロットの蓋を外すとこの状態。標準で 32MB の増設メモリ「PCGA-MM532」が入っています(PCG-505EX/64、505X/64 のみ)。スロットの空きがないのでこれを外して、あいたスロットに 64MB のメモリを差すことになります。
メモリを外すときは、マイナスドライバやピンセット等でメモリスロットのコネクタ側にあてがい、筐体を支点にしててこの原理で持ち上げてやるとすんなり外れます。メモリチップ側から無理に力を加えると、基盤やコネクタを破損してしまうかもしれないのでコネクタ側から持ち上げてやるとよいでしょう。
「PCGA-MM532」を外したところ。32MB モデルの初代 PCG-505 や 505EX、505X は(増設をしていなければ)蓋を外したらこの状態になっているはずです。マザーボード上にちょっと気になる空きパターンがあるのが見えますがそれは置いといて(笑)、空きのできたスロットに「HWD-VA64」を差してやります。
あとは 64MB のメモリをスロットに差し込むだけ。スロットはちょっと固めですが、少ししっかりめに力を入れてやれば多少の手応えと共にすんなりと収まってくれるはずです。マザーボードを破壊してしまいそうで怖いかもしれませんが、ちょっと強めに差さないとしっかり差さってくれませんよ。
メモリを差したらあとは蓋を閉めてネジ止めするだけです。実質所要時間3分未満。
ちなみに、505GX から 505V までのモデルはメモリが SDRAM モジュールになっているだけで作業手順等は同じはずです。N505 シリーズでは本体裏面の蓋自体が廃止(本体を開けないとメモリ増設ができない)されているためメモリ増設の手順は全く違っています。
ここで、メモリ増設の効果について少し。PCG-505 シリーズはチップセットに Intel 430TX チップセットを採用しているわけなんですが、この 430TX チップセットは「64MB 以上のメモリを搭載している場合、64MB を超える分のメモリに関してはキャッシュが働かない」という特性を持っています。そのため、「64MB 以上のメモリを搭載しても意味がない」「64MB を超えるメモリを搭載すると遅くなる」といった誤解をされがちですが、64MB までのメモリ領域に関してはちゃんとキャッシュが効いているため「遅くなる」ということはまずありません(ベンチマークなどで 64MB を超える部分にアクセスされると数値としては低く出る場合もありますが)。
このあたりのことは、「CYBALION」の「VAIOノート活用研究所」内にある
の項に詳しく解説されています。ここでは同じ検証をしてもあまり意味がないので省略(単に手抜きともいう)。
というわけで数値的な検証は CYBALION に任せておくとして、個人的な使用感はというと、確かに 96MB 化した効果は出ていると思います。通常に使っている分には、少なくとも Windows 98 を使う上ではそれほど差は感じないと思いますが、やはり画像処理などを行うとスワップの発生率が少なくなっているのが分かります。また、Windows 2000 では Windows 98 よりも明らかにシステムが使用するメモリ量が多くなっているせいか、64MB では通常の処理(オフィスアプリを起動する程度)でも頻繁にスワップが起こり「カリカリカリ・・・」と HDD へのアクセスが発生し、その度に処理待ちをさせられていたものが、96MB に増設することでかなり改善されたような気がします。

こんな感じで、96MB へのメモリ増設は確かに効果があります。Win95 を使う分にはあまり効果はないかも知れませんが、Win98/2000 を使って多少重い処理(MS Office も最近はかなり重いですが)をさせようとすると 64MB でもちょっと厳しいかな、というところですから。特に Win2000 は 64MB じゃきついですね。
というわけで、メーカー保証外ではありますが、メモリ増設はオススメです。ただ、このメモリの入手がもはやかなり困難になってしまったこと、及びメモリの価格が高い(販売価格で \20,000〜\25,000 程度)ことを考えると、投資対効果という点では「?」と言わざるを得ない面はありますね。

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