VAIO Column 特別編 「Do VAIO World 2004」レポート
「Do VAIO World 2004」レポート
2004 年夏、生まれ変わった VAIO。「VAIO 第 2 章」と名付けられた新たなステージは、「Do VAIO」というキーワードのもと新たな「VAIO」、あるいは本来目指していたところの「VAIO」を再定義するものでした。私たちの前に姿を現した新しい VAIO とは、そして「Do VAIO」とは?それを確かめるべく、お台場メディアージュにて開催された「Do VAIO World 2004」に足を運んできました。
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よく訪れているせいか入り慣れたはずのメディアージュ。その入り口エスカレーター前に、見慣れない行列ができていました。イベント 2 日目、5/15(土)オープン直前のメディアージュの様子です。
確かに今回の VAIO はかなり注目度が高い新製品発表になったとは思っていましたが、まさかお台場に行列ができるほどのものだとは思っていませんでした(^^;VAIO の影響力が今でもこれだけ強いということなのか、あるいは「つまらなくなった」と言われて久しかった VAIO に今回こそはと期待をかける人が多かったということなのかは分かりませんが、ぱっと目に見えるだけでもこれだけのユーザーが支えているということは、これから VAIO はまだまだ面白くなっていけるはず、ということを確信した光景でもありました。



メディアージュ「sony style」4F の様子。VAIO のイベントだけのために 4F を全て模様替えしてしまいましたが、ここでこれだけ大がかりなイベントをやるのは初めてではないでしょうか?どのくらい凝ってるかというと、中央のカウンター「Bar Style」に使われているいつもは白いハラーのラックに黒いボードを貼って新しい VAIO のイメージカラーに合わせてしまうくらい(笑)。しかも、Sony Style のイベントはよくやってましたが、ソニー自体のイベントをこれだけの規模でやるというのも初めて。このメディアージュの今後の発展という意味でも興味深いイベントでした。
ショールームの一角に設けられたステージと、今回の新製品の中でも特に注目度の高い type U、type X、VAIO pocket のブースでは定期的にデモンストレーションも行われ、その度に人だかりができていました。まあ、type U と VAIO pocket のブースはそうでなくても常に人だかり状態でなかなか製品に触ることすらできませんでしたが・・・。




と、いうわけで、最初は VAIO pocket から。
今回の新製品は注目の製品ばかりだと思っているのですが、個人的には type U とこの VAIO pocket がやはり特に注目だと思っています。特に VAIO pocket はずっと出てほしかったソニーブランドでの HDD オーディオプレイヤーですから、いやがおうにも注目してしまうというものです。



VAIO pocket の実物。iPod や gigabeat とのスペック上の比較から、実物はけっこう大きいんだろうなと思っていましたが、意外にも思ったほどの大きさではありません(gigabeat あたりと比べるとやっぱり大きいですが)。膨張色な iPod と違って暗めのカラーリングなので締まって見えるというのもあるのでしょうが、まあシャツの胸ポケットに入れるのは無理にしてもこれくらいなら許容範囲かな、と思えるサイズに収まっていると思いました。
液晶も思った以上に高精細で発色も良く、高画質なデジカメ画像のビューワとして使おうとは思いませんが、これならデジカメのストレージとして使うときに内容の確認をする程度なら十分かもしれません。輝度や発色、粒状感のなさといった点ではビデオプレイヤー「PCVA-HVP20」よりも良いんじゃないかな?この画質ならちょっとした PV くらいなら観ても良いかな、と思います(音楽系の PV って DVD でもあまり画質が良い作品がないですしね)。どちらにしても単純にオーディオプレイヤーの UI として考えるとこの液晶はオーバースペックもいいトコロだと思いますが。(^^;ソニー的にはこの手のポータブルプレイヤーの画面インタフェースに対する要求がどのレベルなのかこの製品で手応えを見たい、というのもあるのではないでしょうか。いずれにしても、この液晶は単純に HDD オーディオプレイヤーとして他社との差別化のために無理矢理カラー液晶を搭載した、というよりは「VAIO pocket」の将来(音楽だけでなく動画など様々なフォーマットに対応したポケットサイズのメディアプレイヤー、といったところか)を見据えたスペック、ということになるのでしょう。そういう意味では、一般的に言われている「iPod 対抗」というよりも遙かに大きな意味がこの「VAIO pocket」に込められているのではないでしょうか(まあ、Apple も QuickTime を持っている関係上、iPod の将来的な方向性としてムービープレイヤーへの進化を狙っている可能性はありますが)。



側面と背面はこんな感じ。グリップ部がかなり厚くなっているのでスペック上の厚みはかなりありますが、HDD 部の厚みはそれほどでもないというのが分かるでしょうか。重量バランスもかなりグリップ部分に振ってある(おそらくこのグリップ部にバッテリを内蔵している?)ので、持ったときの重さも数値以上に軽く感じました。デザイン的にはもう少しこなれてほしい気もしますが、バッテリ持続時間なども考えると、重さや大きさはこのくらいでも悪くないかもしれません。



付属のクレイドル。持ち運び用の取っ手も兼ねる折りたたみ式のスタンドと、DC IN、ライン出力、USB Type A と Type Mini-B 端子を備えています(USB 端子のカバーは排他)。PC との接続には Mini-B、デジカメとの直接接続には Type A 端子を使います。保証外ですが Cyber-shot 以外のデジカメも(USB 端子がついていれば)接続可能なようです。ちなみにデジカメとの接続はこのクレイドルが必須になりますが、保証こそされないものの AC 電源に接続しなくても(VAIO pocket とクレイドル、デジタルカメラを接続するだけで)デジカメからのデータ転送が可能、とのことです(もちろんバッテリ切れによるデータ消失のおそれがあるため、動作保証はされませんが)。



そして VAIO pocket の最大の特徴と言えるのが、今回新しく開発された新感覚 UI「G-sense」。「G」は「グリッド」の G だそうです。
タッチパッドとボタンを合体させた新しいセンサーと、そのセンサーの 5×5 のグリッドに対応した画面内の操作領域があり、センサーの上に指を滑らせたり圧したり(タップするのではなくクリックする感じでしっかりと押し込む)することで操作していきます。画面をスクロールさせるときには、一般的なタッチパッドであればパッドの端を上下に何度も擦らなくてはなりませんが、この G-sense ではパッドの上端や下端に指を触れさせ続けることで自然にスクロールする、という新しい操作感。スクロールするだけでなく画面単位で飛ばしたり、ディレクトリ検索やジャケット検索のような曲検索も使えるため、数千曲単位で曲をインストールしても比較的高速に目的のタイトルを探し当てることができそうです。・・・まあ、そうはいっても特殊なインタフェースなので、それなりに慣れは必要になるでしょうが。



使用の際には、写真のように片手でグリップを握って親指で G-sense を操作するというスタイルになります。最初からこのスタイルを想定して作り込まれた形状/重量バランス/インタフェースなので、自然な感じで持って操作することができる気がしました。
しかし、G-sense のパッドは静電容量式なので、冬場手袋をしていると(手袋の素材にもよりますが)本体での操作が不能になってしまうのはちょっと問題だと思います(笑)そういうときは、以下のワイヤードリモコンを使うことになります。



本体付属のリモコンは、3 行表示で他のウォークマン等に比べると情報量も多いです。2 つのシーソーボタンを使って操作し、本体同様ほぼ一通りの操作が可能になっています(さすがにジャケット検索はできませんが)。そこそこサイズのある本体なので、普段はこのリモコンを使うことがやっぱり多くなるのでしょうが、カラー液晶の見通しの良さが思ったより良かったのでできれば本体側で操作したい気もします。
リモコンのデザインは、なんというか、あんまりソニーらしくないというか(笑)。液晶を大きくするほどデザインもむずかしくなっていくのでしょうが、もう少し練ってほしかったような。

G-sense の操作性・・・は、ある程度慣れが必要なのでちょっと触っただけでは何ともいえませんが、一度慣れてしまえば確かに使いやすそうだな、とは思いました。しかしまだファームウェアが開発中らしく(展示されていたものはイベント直前ギリギリにできたバージョンとのことで、5/13 の日付が入っていました)、何かするごとに反応がワンテンポ遅れる感じがあったので、これが発売までにどれだけ改善されるかがカギとなりそうです。いくら直感的な操作が可能になる、といってもハードウェアがついてこれなくては意味がありませんからね・・・発売日に買ってはみたものの遅くて使い物にならない、ということのないようにがんばって開発していただきたいものです。アテンドしてくださった開発者とおぼしき説明員の方曰く「発売日まで寝ずにがんばります」とのことでしたが(笑)くれぐれもお体は壊されませんように・・・。
音の方はですね、騒音だらけの会場でしかもいつも聴いているジャンルとは違うソースで、だったので正確なことは言えませんが、たまたま持っていた B&O A8 で聴かせてもらったところそれほど悪くないと思いました(サンプルに使われていたタイトルのフォーマットやビットレート等は不明)。まあ、ATRAC3 ならネットワークウォークマンや MDLP の音を知っているので、音質についてはあまり心配はしていませんが。少なくとも私が iPod 購入を躊躇する理由であったギャップレス再生と液晶リモコンという 2 点をクリアしているだけでも購入動機になるな・・・とは思いましたね。
→パート 2 - type A

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