VAIO Column 特別編 「Do VAIO World 2004」レポート
「Do VAIO World 2004」レポート
引き続いて、デスクトップ VAIO シリーズのインプレッションに移りたいと思います。type U が残ってますが・・・長くなるので後回しで(ぉ
まずは、type V から。これまでは PC でテレビを楽しみたいユーザーのためのエントリーデスクトップという趣でしたが、今回は VAIO W を取り込んで大幅なラインナップ拡充。フラッグシップの type R を押し退けて、デスクトップ VAIO の代名詞にすらなりそうな勢いを感じます。
※各画像をクリックすると大きい画像が表示されます。



新しい VAIO type V。左の写真が 20 インチ、右が 17 インチモデルです。フラットパネル WEGA の「フローティングデザイン」を意識していた PCV-V1x からイメージが変わり、光沢感のある黒いフロントパネルが印象的なデザインになりました。枠が黒いので映像が引き立ちますし、液晶パネル自体が艶のある「クリアブラック液晶」なので、ある意味アンチグレア処理を施された液晶 WEGA よりも映像に関しては見栄えがするのではないでしょうか。
上位モデルでは写真のブラックのみのラインナップになっていますが、来場者の方からはホワイトモデルへのニーズもけっこうあった模様。これでホワイトだったらパイオニア PUREVISION のホワイトモデルみたいな雰囲気になって、それはそれで良さそうかなーとも思ったり。
写真を撮っていませんが下位モデルの VGN-V151 シリーズ(15 インチ)は基本的に PCV-V1x のデザインを踏襲しています。ホワイトとブラックの二色展開されるのも従来通り。



WEGA を意識したアクリル製のフロントパネル、パネルから浮かび上がる光沢感のある VAIO ロゴや各種 LED。そして一体型 PC のスピーカではあまり使われたことのない AV 機器的なサランネット。スタンドまで高級感があります。こだわりがありながらもエントリーモデルらしい気安さのあった従来の VAIO V とはちょっと違う路線を狙っていますね。私室で使うパーソナル PC というよりはリビングルームの共用テレビに近いものがあります。というか、液晶下中央の「VAIO」ロゴが「SONY」ロゴだったら PC と気づく人の方が少ないのではないでしょうか?

付属のキーボードとマウスは従来の PCV-V1x に付属のものと同じようです。が、カラーリングが少し変更されてマットな質感になりました。ツヤツヤで目立つ本体に比べて目立たないマットなキーボードとマウスは、狙ってそうしたのでしょうか?いずれにせよ、かなり PC 離れしてきたデザインのせいでキーボードやマウスが置かれていると却って違和感があったりもします。


本体背面。こちらも、左の写真が 20 インチ、右が 17 インチのモデルです。これを見る限り、両モデルは液晶パネル以外の部分は共通みたいですね。そしていかに 20 インチというサイズが大きいか分かります。
背面には 3 つの冷却ファン。会場の騒音ではどの程度うるさいのか、静かなのかは分かりませんでしたが、ほぼ「テレビ」としての利用を想定しているのであればかなり静かなはず(逆にプラズマテレビで冷却ファンが妙に耳障りなものとかもありますけどね)。カタログでも静音設計は謳っていますが、だいたいどのくらい静かということまでは分からないので、一度ちゃんと検証してみたいところ。

台座として本体を支えている部分には電源ユニットが収められているようです。15 インチの type V では横置きでしたが、17・20 インチでは縦置き。サイズもかなり大きいですが、Northwood 系の CPU を駆動しつつそれなりに大画面・輝度の高いディスプレイの電力を賄うにはこのくらいの電源ユニットは必要なのでしょう。逆にそれなりに大きいことで、液晶パネルのせいで前に偏りがちになる重量バランスを取っている側面もあるのかもしれません。


背面のカバーを外すと各種接続ポートが現れます。ちょうど昨年の液晶 WEGA(20 インチ以下のモデル)に採用されていたのと同じ方式で、ごちゃごちゃしがちなケーブルを隠して見栄えを良くするための工夫です。ただ、PC の場合はテレビよりもケーブルが多くなりがちなので、隠してもどうしてもケーブルが目立ちやすくなるのが悩みどころ。台座というか支柱の部分を通してケーブルを後ろに逃がせるような仕組みがあっても良かったかも。

本体の厚みはこんな感じ。17 インチ、20 インチともに同じくらいの厚みがあります。液晶テレビと比べるとけっこう厚みがありますね・・・まあ、液晶パネルの裏側にメインボードその他が実装されているのである程度仕方ないところではありますが。
側面の体裁を整えている蓋を開くと、中には PC カードスロットや USB、i.LINK、音声入出力端子が隠されています。このモデルではさほど使用頻度が高くないであろうこれらのポートは蓋で隠されていてもあまり問題はないのかもしれませんね。
ケーブルが煩わしい向きには純正の「出っ張りが少ない」無線 LAN カードをこのカードスロットに挿して蓋を閉めておけば、少なくともネットワークケーブルからは解放されそう。
右側面にはメモリースティックスロットも。PLASMA WEGA なんかでもこの位置にメモステスロットがありますが、意識して揃えているのでしょうか。
なお、今回からほとんどのモデルでメモリースティックスロットは Duo もそのまま挿せるようになりました(スロットの脇に「Memory Stick STD/DUO」と書いてある)。type HX のスロットも昨シーズンからメモステ/Duo 両対応でしたが、それとは少し機構が違ってスロット自体がコンパクトになっています。
液晶の上の縁にはかなり開口率の高い排気スリットがあり、背面の 3 個のファンを使って吸気し、このスリットから熱とともに排気しているようです。スリットの隙間からはかなり大規模なヒートシンクのフィンが覗いており、排熱には気を遣っていることが伺い知れます。聞くところによると type R と同じようなヒートパイプを使って熱を回しているそうですが、確かにこの液晶パネルそのものが筐体だとすると熱の取り回しはかなり大変そうです。

旧モデル VAIO W との画質比較のデモを行っていたのでじっくり見比べてきました。
写真ではなかなか伝わらないかもしれませんが、パッと見で type V の画質の方が美しいと分かります。発色の鮮やかさ、白の白さと黒の黒さ、コントラストの高さ、輪郭の自然さ、動きの滑らかさ。動画を GA ではなく専用チップ「Motion Reality」で処理しているというだけあって、かなりテレビ的な画質を実現できているのではないでしょうか。少なくとも今までの VAIO ではどうしても「パソコンでテレビを観ている」という感覚が抜けなかったのですが、type V の画質は液晶テレビのそれに勝るとも劣らないと感じました。


こちらは同じ type V の 17 インチ(左)と 20 インチ(右)の画面比較。下から煽ったときの写真です。17 インチモデルはある程度以上縦方向の角度がつくと色相が反転してしまい見れない画質になってしまうのですが、20 インチはこれだけ下から煽っても全然問題ない画質。PC のディスプレイって最近横方向の視野角は飛躍的に広がりましたが、縦方向については手をつけられていないパネルがほとんどでした。そんな中、type V の 20 インチモデルだけは縦方向にもこれだけの視野角を持つパネルを搭載してきたというのは特筆に値します。17 インチと 20 インチの約 \50,000 という価格差が、単に 3 インチのサイズの差ではなくこのパネルの品質の差を含むと考えると、type V を買うなら 20 インチかも・・・と思いますね。

そういえば、type V の展示機は全て Do VAIO の GUI 画面を表示させていて、Windows 画面のまま展示されているものが一台もなかったのが印象的でした。知らない人が見たらテレビの展示会かと思ったかもしれません・・・そのくらい、type V は「PC」から脱却した使い方を提案していく「Do VAIO」の申し子、と言える製品なのかもしれないですね。
スタンバイ/レジュームの速度も PC にしてはかなり高速で、5 秒とは言いませんがスタンバイ状態から 10 秒以内には起動してテレビ画面を表示させることができていました。WEGA だって電源投入から電圧が安定して画面表示されるまで 5 秒はかかりますし、PSX なんて電源投入から操作可能になるまで 30 秒は軽くかかってしまうので、そう考えるとかなりテレビに近い感覚で使えるとは思いました。PC ということで陳腐化してしまうスピードは家電製品のそれとは比べものになりませんが、本体だけで完結させて HDD レコーダとして使っていくという道もありますし(デジタル放送への対応は別途考えなくてはなりませんが)、少なくとも液晶テレビ+デジタルレコーダを購入することを考えれば type V を買ってしまった方がお買い得ということもあるかもしれません。まあ、テレビを観るために PC を起ち上げなくてはならないことへの抵抗感はあるでしょうが・・・。
→パート 7 - "Do VAIO"

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