VAIO Column 特別編 「CEATEC 2004」レポート
「CEATEC 2004」レポート
続いては、VAIO type X です。今回の CEATEC に合わせて正式発表された VAIO の最新モデル、かなり気合いが入っている感じがしました。では、いってみましょう。
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VAIO type X のプレゼンテーション。PC としてではなく、テレビに接続する録画マシンとして、リモコンを使って片手で簡単に操作できるという今までの PC にはなかった操作性をセールスポイントとしていました。そして何と言っても type X の最大の特徴は「タイムマシン」。最大 7 チャンネルの番組を約 1 週間全て録画できるモンスターマシンですから、来場者の注目も相当なものでした。台風の影響で人が少なかった当日はともかく、会期中の他の曜日はプレゼンの時間になると動けないくらいの人でごった返したそうです。



type X の本体。ハードウェア自体は夏の「Do VAIO World」で見ていたのでデザインやギミックは既出でしたが、改めてみるとやっぱり大きいです。上のデモンストレーションの写真でもわかると思いますが、比較的大きな type R の筐体よりもさらに一回りくらい大きいサイズですから、これを置いておける家というのもそうはないでしょうね(^^;むしろ本体はどこか押し入れの中に入れてリモコンの受光部と光学ドライブだけ外出しにして使えるとか、逆にテレビラックやテレビスタンド型の筐体であっても良かったような気がします。少なくともワンルームの部屋に置いておける代物ではないですね(笑



付属のワイヤレスキーボード&マウス。今シーズンの type V の付属品と同じであるほか、関連製品として単品でも発売されているものです。キーストロークが浅いノート系のキーボードですが、type A や少し前では VAIO GR のようなそれなりに打鍵感のあるキーボードで、タッチは悪くありません。個人的にはタッチパッドが不要なことやチルトの角度が浅いこと、それに [Delete] キー周りのレイアウトが不規則なので好みではありませんが、それに目を瞑れば悪くないキーボードだと思いました。まあ、\15,000 近く払う価値があるかというとちょっと微妙ですが、選択肢の少ないワイヤレスキーボードでこれくらい使いやすそうなものって滅多にないので、ワイヤレスキーボードに興味のある方は検討に値するものなのではないでしょうか。



こちらは type X の本体にデザインを合わせたデジタルチューナユニット「VGP-DTU1」。前面がブラックのハーフミラーになっていて高級感があります。このミラーは上にスライドさせることによって B-CAS カードの挿入口が顔を出す仕組みになっているなど、けっこう凝ったユニットです。



そしてこちらは 23 インチのフル HD 液晶ディスプレイ「VGP-D23HD1」。1,920x1,200 の解像度をもつフル HD パネルで、バックライトには QUALIA 005 と同じ「トリルミナス」を搭載するモンスターパネル。モンスターマシン type X に相応しい製品ですが、チューナまで併せて総額 \1,000,000 にはちょっと腰が引けてしまいますね(笑)。しかし、この液晶自体は QUALIA 005 をそのままサイズダウンした感じで、画から受ける印象も QUALIA 005 そのもの。もしかすると type X はもともと「QUALIA PC」として開発されていたものじゃないか・・・とすら考えてしまうほどの力の入りようです。



type X のテレビ録画機能のインタフェースは、新聞のテレビ欄がそのまま GUI になったようなデザインで「タイムマシン」と名付けられています。「タイムマシン」という名称の由来には、「番組表」という言葉を使ってしまうと著作権の問題が出てきてしまうから云々、という裏事情もあったそうです(笑)。
この「タイムマシン」画面内で表示できる番組情報はあくまでそれまでに録画した番組のみで、録画したものについては iEPG から取得した番組詳細情報なども表示できるようですが、これから放送される番組については HDR についている EPG 番組表とは違って iEPG「テレビ王国」の Web インタフェースを使って見るしかない模様。「タイムマシン」というからには、同じインタフェース上で現在も過去も未来も一元的に見れる必要があると思うのですが、その辺も政治的な事情により難しいらしいです(^^;
なお、テレビ機能の GUI はこの「タイムマシン」ビューの他にジャンルビューも備えており、録画した番組をジャンルごとに振り分けて管理することも可能になっています。「タイムマシン」ビューは確かに type X の特徴として分かりやすい機能なのでどうしても前面に出てきがちですが、VAIO でも「おまかせ・まる録」の機能が利用できるようになったことですし、「時間やチャンネルに縛られずに、好きなときに好きな番組を楽しむ」という type X の性格を考えるとむしろジャンルビューの方こそが type X を使いこなす上では必要なビューなのではないか、と思います。
そういえば、このインタフェースを使ってみて感じたのですが、スクロール操作が若干もたつく感じがありました。ほとんどの番組欄にサムネイルがつけられているので、スクロールで画面送りをしたときにはサムネイル作成に時間がかかる分のタイムラグが生じているんでしょうか。PSX の高速なインタフェースに慣れている身としては、長く使っているとちょっとストレスを感じるかも、と感じました。



続いて開発発表が行われた新「ルームリンク」。来春発売の予定となっています。
従来の「ルームリンク」から進化した点といえばワイヤレス LAN への対応(トリプルスタンダード全対応?)や D3 端子を備え HD 映像の配信が可能になったことでしょうか。ただし、ワイヤレス LAN 経由では帯域の問題から HD クオリティの動画をルームリンクで扱うことはちょっと無理らしく、HD 映像に関しては有線 LAN 経由での利用となるでしょう、とのことでした。HD 録画対応機は PC、家電いずれもまだ製品が出そろっておらず、それを配信しようという機器ももちろんほとんど出ていませんが、来春までにはその辺の環境も整ってくるんでしょうかね。

type X は確かにインパクトは強いんですが、やっぱりどうしてもその価格がネックになってしまいますね。本体だけで 50 万コース、フルセットでは 100 万コース・・・「テレビを観る」という行為に 100 万円をかけるのか、といったら微妙どころの話ではないでしょう(笑)現実的なセンとしては、ソニスタで X3 ビデオサーバ 1 台搭載のモデルを 35 万程度でゲットする、というところでしょうか。どちらかというと、type X を 1 台買うくらいなら適当な HDD レコーダを 2 台買って余ったお金で PC を 1 台買った方が幸せな生活を送れそうな気もします(^^;ある意味、type X は X505 と同様に VAIO ブランドの存在感を示すフォーミュラカーのような存在なのかもしれません。
しかしこれを見る直前に QUALIA 005/006 の圧倒的な画質を目にしてしまったので、その後の type X の地上アナログの画質にかなりがっかりしてしまったのは確か。これからデジタル放送・HD 放送が本格化しそうなこの時期に、SD 放送ばかり 7 チャンネル 1 週間分も録ってどうするの、というのが正直なところです。どちらかというとフルセットを揃えて HD 録画をするのが、この type X の真の使い方なのではないでしょうか。逆に、それくらいしないと 1,000,000 払う価値はないような気もします。

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