Road to Home Theater | ホームシアターへの道 |
バーチャルサラウンドヘッドホン MDR-DS8000 |
ソニーのコードレスサラウンドヘッドホン「MDR-DS8000」を買いました。 ホームシアターは音を出すもの、ということで、深夜の視聴となるとやはり近隣への迷惑を考えなくてはなりませんよね。私の住んでいるアパートは、一棟のみの上下二部屋しかなく、両隣は大家さんの住居と会社、ということでそれほど近所迷惑は気にしなくても大丈夫なのです。が、木造であまり防音を意識した構造になっていないため、お二階さんの生活音がけっこう聞こえてくる(小さいお子さんがいるので、昼間はけっこうバタバタ聞こえてくる)んですね。ということは、うちもあまり調子に乗ってシアターの音を出しまくっていては迷惑だろう、と思い、サラウンドヘッドホンの導入に踏み切ったわけです。けっこう夜遅くに帰ってきて、寝る前に一本 DVD 観るか〜、という生活をしているため、そんなときに小音量しか出せないとやはり物足りない、というか映画の楽しみを半分くらい損しているような気がします。AV アンプの「ヘッドホンシアター」機能も試したんですが、いまいちしっくりこなかったので、ならば以前から気になっていた DS8000 を使ってみよう、と。 ソニー「MDR-DS8000」 \49,800 (税抜、さくらや Nets) VPL-HS10 を買ったさくらや Nets にて購入。売価 \49,800 だったのですが、Cineza を買ったときのポイントが 45,000 ポイントあまりあったので、実質 \5〜6,000 で購入できました。去年の秋くらいまでずーっと実売 \6〜7 万で安定していたのですが、最近急に値下がりしています。ひたすらこのときを待っていました(^^)v コードレスヘッドホンというと、ステレオ音声ケーブルと AC アダプタを接続するだけの簡単なベースステーションが付属していることがほとんどなのですが、この DS8000 のベースステーションはかなり大きめで、デスクトップ CD/MD システム「LAM-10」に匹敵するくらいのサイズがあります。それもそのはず、単に音声信号を赤外線に変換して飛ばしているだけでなく、ドルビーデジタルや DTS のデコーダを内蔵しているからなんですね。この大きなベースステーションの前面両端にびっしりと設けられた赤外線発光部は、電送信号の安定に一役買っていそうです。 入力は、ドルビーデジタル(EX)・DTS(ES)にも対応した光デジタル入力が 2 系統、2ch のアナログ音声入力が 1 系統。デジタル入力が 2 系統あるので、DVD プレイヤーの他に PlayStation 2 などのデジタル音声出力を備えたゲーム機を同時に接続できます。 操作系はシンプルです。電源ボタン、入力切換、エフェクト(CINEMA 1/2、MUSIC)の選択ボタン。 エフェクトは CINEMA 1/2 が映画館を模した感じの音場が再現され、MUSIC は音楽向きのあまりきつくない程度のリバー部がかかって聞こえます。CINEMA 1 は音の輪郭がボワボワして台詞が聞き取りづらくなるので、私は映画を観るときには CINEMA 2 モードでほぼ固定して使っています。 下部には出力方式の選択ボタンがあり、どの音声フォーマットをデコードするかを選択することができます。 「OUTPUT」ボタンを押すごとに、2ch エフェクト無し/2ch バーチャルサラウンド(ヘッドトラッキングオン)/マルチチャンネルバーチャルサラウンドが切り替わります。デジタル入力に入ってくる信号がドルビーデジタル EX、DTS-ES の場合は 5.1ch でデコードするか 6.1ch でデコードするかを選択することもできます。 このヘッドホンのすごいところは、バーチャルサラウンド機能もさることながら、「Gyrotrak」というジャイロを利用したヘッドトラッキング機能がついていることです。 どういう機能かというと、ヘッドホン装着時に画面の方向に顔を向けていれば、その向きをヘッドホンが記憶していて、斜めや横に顔の向きを変えても、あるいは後ろを振り返っても、音場は固定されているんです。つまり、「音がちゃんと画面の方向から聞こえてくる」んです!ふつうのヘッドホンだと、どれだけ顔の向きを変えても右チャンネルは右耳に、左チャンネルは左耳にへばりついているのが当たり前なのですが、DS8000 ではその常識が覆されます。ヘッドホン自体がオープンエア方式であることもあってサラウンド空間に広がり感があるせいか、このヘッドトラッキングをオンにしていると「あたかもヘッドホンをしていないかのような感覚」で音が聞こえてくるんですね。私も、ついつい本当にスピーカからじゃなくてヘッドホンから音が出ているのか、何度もヘッドホンをつけたり外したりして確認してしまいました(笑)。 ただ、このジャイロ機能も、頭の向きを認識してくれるだけで絶対位置までは認識してくれません。向きを変えずに左右にだけ動いたら音はついてきますし、画面に近づいたからといって音が大きく聞こえたりはしないのですが(笑)このヘッドトラッキング機能があるだけでサラウンドのリアリティが大きく高まるのですから、すごいです。 また、バーチャルサラウンドに対応した外部ヘッドホン端子も備えており、MDR-DS8000 付属のヘッドホン以外でもバーチャルサラウンドが楽しめるようになっています。ただし、当然ですが外部ヘッドホンを使った場合はヘッドトラッキングは働きません。 コードレスヘッドホン。ソニーらしくサイバーな雰囲気がよく出ているデザインだと思います。 バッテリを使用するため重量は約 350g とけっこう重めになっていますが、ピュアオーディオ用のヘッドホンでもそこそこ高級なものは 250g〜350g くらいあることを考えるとさほど重いというわけでもないのかな?オープンエア型ということもあって、あまりかけ疲れはしないと思います。 金属製で高級感のあるドライバユニット。 ユニットは同社のフルオープンエア型ヘッドホン「MDR-F1」に瓜二つ。コード式とコードレスという違いこそあれ、ヘッドホンとしては兄弟機ということができるでしょう。ドライバユニットが耳から離れるため、自然な感じで音が広がります。ベースモジュールのヘッドホン端子に密閉型ヘッドホンを接続してもこうはいかないでしょうね。 ただ、リスニングを主目的に開発されたヘッドホンではないため、オーディオ CD のリスニングにはあまり向かないと思います。ちゃんと聴きたい場合は、私は別のヘッドホンを使っています。が、ワイヤレスというのは間違いなくお手軽で、音楽を BGM 的に流しておきたいときにはこのヘッドホンを使うことも少なくないですね。決して悪いヘッドホンではないので。 ヘッドホンの右後方部にボリュームダイアルとヘッドトラッキングのオン/オフスイッチ、リセットスイッチ(ヘッドトラッキングの初期化スイッチ)があります。 ボリュームが 0 になっているのに気づかず「音が出ない!?」といって焦ることもしばしば。(^^; ヘッドホンは同梱の単三型ニッケル水素充電池 2 本で動作します。 充電池での連続稼働時間は 6 時間ほど。長さにもよりますが、なんとか映画 3 本がギリギリ視聴できるくらいしかもたないため、けっこうマメに充電してやらなくてはなりません。 しかし、この充電作業がこれまた同梱のバッテリチャージャで行わなくてはならず、面倒です。ベースユニットに充電機能がついていて、使い終わったらベースユニットに引っかけておけば自動的に充電される仕様なら良かったのに。 音の方は、やはりバーチャルサラウンドであるからなのか、DVD タイトルによってはやや台詞にあたるセンターチャンネルの定位がややぼやけがちに感じることもありますが、サラウンドチャンネルの定位感・移動感はバッチリです。そもそもがバーチャルサラウンドなため、各チャンネル間の繋がりが悪いということもないですし(笑)これはかなり気に入ってしまいましたね。 ただ、自宅で昼間に大音量で鳴らしたときや映画館で視聴するときと違って、ヘッドホンなので「音圧を体で感じる」ことができないのはちょっと寂しいですね。やっぱり迫力が命のアクション物や SF 物で空気の痺れや腹に響く音が感じられたり、ミュージカル系タイトルの歌声の響きや会場の臨場感が伝わってきたり、ということが感動に拍車をかけるのですが(自宅で本当にそこまでやったら近所迷惑ですが)、そういうのがないのはちょっと寂しいです。とはいえ、深夜にボリュームを絞って(センターチャンネルだけ持ち上げて)物足りない気持ちで観るよりは、ヘッドホンで大音量を味わった方がよっぽど楽しいですけど。最近よく思うのですが、どんなに大画面でも音がしょぼしょぼだと画面まで小さくなったような錯覚に陥るんですね。逆に、音で迫力が出せれば実際の画面以上に大きな迫力が出るんです。それって、たぶん映画におけるマルチチャンネルサラウンドの原点でもあると思うんですけど。 実は、だいぶ以前にもこの DS8000 の前機種にあたる「MDR-DS5100」(現在も下位モデルとして併売中)を購入しようかと何度か悩んでいたんですよね。しかし、店頭でデモを聞いてみて、あまりサラウンド感覚がピンとこなかったり、コードレスヘッドホン特有のノイズみたいなものが気になって購入には至りませんでした。しかし、DS8000 はデジタル伝送方式を採用し、DS5100 と比べて圧倒的にノイズレスですし、サラウンドプロセッサも性能が向上したため、各チャンネルの定位感もかなり向上しています。 スペックの方は、バーチャルとはいえ 6.1ch のマルチチャンネルで、ドルビープロロジック II 対応するなど、私の使っている AV アンプ「STR-DB1070」より部分的に高機能なところがあるのが悔しいです(^^;しかも、セッティングが決まらないと各チャンネル間の繋がりが悪くなってしまうリアルマルチチャンネルと違い、被るだけで必ず理想的なセッティングができあがるバーチャルヘッドホンは、けっこうお手軽かもしれません。副次的な効果として、ヘッドホンを被ることでプロジェクタのファン音もかなり遮蔽されますし(^^;なんだかんだいってスピーカで大音量を出せない私は、DVD を観るときは 1/3 くらいの割合でこの MDR-DS8000 を利用してしまっています。実はかなり満足度の高いお買い物だったかも。 |
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