VAIO Laboratory R70 の筐体を交換してみる
R70 の筐体を交換してみる
前回 R70 の CPU を 1GHz に換装したわけですが、その後しばらくして「電源が壊れた」という連絡を受けたので、またしても R70 に手を加えてきました。今度はケースの交換です。というか、あの R70 はちょっと前から電源ファンが怪しげな音を立てていたので壊れたのも必然なのでしょうが・・・。
デスクトップ VAIO のマザーを交換して「VAIO の皮をかぶった自作機」を作っている方は少なくないですが、逆にケースだけ交換してしまったケースは珍しいんじゃないだろうか?と思い、ここにレポートしてみました。
※注:くれぐれも改造は自己責任で行って下さい。このページの情報をもとにあなたの VAIO を改造するとソニーによるメーカー保証が受けられなくなるだけでなく、最悪の場合 VAIO が壊れてしまう事態も考えられます。仮に、同様の改造を行って VAIO やデータ等が壊れても作者(Brown Sugar)は一切責任を負いません。ご了承下さい。
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今回取り換えた筐体は、電源ユニットで有名な ENERMAX というメーカーの「CS-588BBPRO」という製品。私が初めて PC を自作し始めた頃からお世話になっている USER'S SIDE さんで購入しました。かなり DV 関連のパーツに力を入れていて、DV 編集会社にはうってつけのショップです。
このケース、なんとなく VAIO S シリーズに似ていると思いません?VAIO カラーっぽいところもこの製品を選択した理由の一つだったりします。でもかっこいいでしょ?
というわけで、R70 の筐体をバラしちゃいます。問答無用でマザーをひっぺがしてやるのです。ひたすらネジを外してマザーボードを取るだけなので、あえて細かい解説はしないことにしますが、VAIO といえども AT 互換機に過ぎないのでそのあたりの手順は普通の PC とだいたい変わりませんね。ちょっとケーブルが多くてケースが狭いくらい。一番下の PCI スロットに挿さっているモデム兼 PC カード I/F ボードが外れにくいですが、無理はせずにスロットから抜くだけ抜いておいて、あえてケースからは出さなくてもけっこうです(新しいケースにこのボードを入れない場合)。
CS-588BBPRO の中身はこんな感じになっています。5 インチのオープンベイ x2、3.5 インチのオープンベイ x1、3.5 インチのシャドウベイ x5 という豪華な構成。電源はケースと同じく ENERMAX の 350W が載っています。デュアル CPU の PC サーバー/ワークステーションにも対応しているくらいなので、MicroATX な P2B-AE にはちょっと贅沢かもしれませんが、さすがに 1GHz の CPU には多少余裕がありすぎるくらいでちょうど良いでしょう。
ATX のミドルタワーにしてはかなり大きい方だとは思いますが、さすがに作業はしやすいです。サイズだけではなく、よく考えられた構造になっていることにもよるのでしょうが。
マザーボードをシャーシに固定し、ケースに入れます。このあたりは何ということはない自作機の世界なので大したことはないのですが、ちょっと問題になるのはケースのスイッチや LED 周り。R シリーズの筐体から出ているスイッチ/LED の接続ケーブルは、コネクタが一体化されているのです。それに対して CS-588BBPRO をはじめとする一般的な PC ケースはそれぞれのコネクタがジャンパピン状になってバラバラに付いています。通常はマザーのマニュアルを見て取り付けるのですが、VAIO はメーカー製なのでマザーのマニュアルがない!というわけでボード上のシルクプリントを見ながら、トライ&エラーで地道に探し当てていきます。
とはいえ、シルクプリントに大体書いてあるので特に問題はないのですが、一応 R70 の LED コネクタは左図のようになっています。左から順に、電源スイッチ、IDE LED、ブランク 1 本、電源 LED、リセットスイッチという並び。極性などは厳密に言うと違っているかもしれませんが、今回のケースではこの図の通りにやって何事もなく動いているので大丈夫でしょう。もし R シリーズのケースを換えたいという奇特な方がいらしたら(ま、滅多にいないとは思いますが)参考にしてみて下さい。ちなみに、内蔵スピーカはオンボードなので接続ません。
しかし、自作用マザーの LED コネクタも仕様を統一してくれたら楽でいいんですけどね。
もう一つコツが必要なのが、バックパネルです。P2B-AE は背面の USB ポートが 1 個しかなく、しかもシリアルポート 1 つ分が IEEE1394(i.LINK)ポートになっています。これではケース標準のバックパネルだとちょっと合わないので、P2B-AE についているパネルを生かしたまま、ケース付属のバックパネルを加工(P2B-AE のバックパネルと干渉する部分を切り取る)します。これでバックパネル周辺の隙間がなくなって、埃の進入も防げます。
バックパネル右側に見えるのは冷却ファン。なんと 12cm のものが付いています。かなり風量はすごいですが、その分騒音もすごい(^^;
マザーの組み込みが完了したら、とりあえず動作確認。CRT に表示させるためにビデオカードを、HDD LED の点灯を確認するために HDD を接続し、電源を投入します。ここでちゃんと画面が映らなかったり、BIOS がエラーを表示していたら組み直し。案外 LED が点かないということがあるのでここでしっかり点灯するよう調整します。
最小構成での動作確認が完了したら、次はドライブの取り付け。R70 のケースはフロントパネルの関係上、CD-RW ドライブにも FDD にもフロントベゼルが付いていない!このまま新しいケースに組み込むと見た目が悪いばかりか、埃が入り込む原因にもなります。特に CD-RW は埃にシビアなので、フロントベゼルは必須でしょう。
というわけで、買ってきたのがこれ。星野金属工業の「WiNDy MEDIA DEVICE」シリーズから、CD-RW ドライブ「WAI1210S」と FDD「F2C」の 2 製品。WAI1210S の方は定評の高いバッファアンダーラン防止機構「BURN-Proof」を搭載した三洋製ドライブを採用した製品です。NIKE のシューズっぽい外箱あたりからも同社のこだわりが感じられます。「WinDy MEDIA DEVICE」シリーズは同社のアルミケースシリーズ向けの製品ですが、CS-588BBPRO には黒いドライブが似合う、ということであえて選択しました。
というわけで、ドライブ類と拡張カード類を全て取り付け、ケーブルも必要に応じて接続します。今回はケースが広くなったので、セカンダリ IDE の空きを利用して以前取り外した「DJNA-352030」も 1 台復活させ、内蔵だけで合計 110GB にしてしまいました。
モデム/PC カード一体型ボードはどうしようか悩んだのですが、結局取り外してしまって空いたスロットに Ethernet ボード(3Com 3C905B)を付けました。以前は PC カードスロットに LAN カードを入れるというちょっとおかしなことをやっていた(問題なく動いていましたが)ので、これでようやく一般的な構成になったといえます。
しかしこうして見るとなかなか壮観ですね。マザーが MicroATX なのでケースの下の方が大いに余っているのは愛嬌ですが(^^;
で、あとはケースを閉じてしまって各種ケーブルを接続し、おもむろに電源を入れてみるだけです。特にシステムドライブを変更したわけではないので OS のインストールも必要なく、すぐに使えました。
しかし、この写真だとどこにも VAIO の片鱗すら見られませんね(笑)。CRT に「SONY」の文字が見えるのが不思議ですらあります。
前面パネルはこのようになっています。WiNDy のロゴが入った精悍な黒いドライブがかっこいいですが、それは置いといて(笑)2 段目の入出力ポートが気になります?なりますよね?(笑)R70 の前面下に付いていた入出力ポート(簡単なボードが 1 枚付いていて、そこにポートが接続されている)を外してきて、5 インチベイのパネルに穴を空けて無理矢理付けちゃいました。ただ、ケーブルの長さが足りずアナログポートと USB ポートが死んでいます(笑)仕事としては i.LINK が使えればいいのでこのままですが、これを今後どうするかは懸案事項ということで(^^;手作りだからあまりきれいじゃないし。とりあえず、カノープスの「RaptorBay」あたりがなんとか流用できないかと思案中です。
一見、見た目にはどこにも VAIO の名残りはなさそうに見えるのですが、よく見ると VAIO の良心(笑)が密かに残っています。R70 の型番シールを剥がして貼ってみました(笑)。筐体の色が似ているので、あまり違和感はないような気がするのですが。あとは何とかして VAIO ロゴのシールを貼ってやろうと企んでいます(笑)。
実は、ケースだけでなくキーボードとマウスも既に交換済みだったりします(^^;マウスは定番「IntelliMouse Explorer」ですが、キーボードは DV 編集のプロらしく、Adobe Premiere 向けの「POST-OP EZ KEY」を入れています。まあ、キートップに Premiere のショートカットがプリントしてあるだけの単なる英語キーボードとも言いますが(笑)。でもデザイン的に優れているかどうかは別として、編集機っぽくて良くないですか?Keytronic のキーボードをベースにしているだけあって、キータッチはメンブレンながらかなり素晴らしいモノがあります。

そんなわけで、もう完全に見た目は VAIO ではない VAIO ができあがりました。これだけ VAIO 色がなくなっても、マザーは生きているのでちゃんと VAIO のプリインストールソフトウェアは完璧に動作しますし、かといって性能的・機能的にも(マザーボードに依存する部分以外は)妥協していない、良いマシンができあがったと自負しています。ケースも VAIO じゃないとはいえ、VAIO っぽくてかつ本家 VAIO よりもかっこいいんじゃない?というくらいお気に入りのデザインですし。このマシンでお仕事がんばってくださいね>社長
しかし、本当に購入当初のまま残っているパーツはマザーとビデオカード、TV チューナ/MPEG キャプチャボードだけになってしまった・・・。

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