VAIO Column 特別編 「Sony Dream World 2002」レポート
「Sony Dream World 2002」レポート
前節で VAIO ニューモデルに関しては一段落、ということで、続いては記念サイト「VAIO 5th Anniversary」からの「VAIO chronicle」特別展示、および VAIO の将来を予感させるコンセプトモデル「未来 VAIO」2 機種の展示について書いてみます。
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Web 上の VAIO 5 周年記念サイト上で展開されていた「VAIO chronicle」で紹介されていた、歴代 VAIO の初期デザインモックや VAIO のそれぞれの節目にあたるモデル等を展示した「VAIO chronicle」ブース。写真はごく初期の VAIO ノート 3 機種のデザインモックで、ソニーのデザイナーとして既に伝説となりつつある後藤 禎祐(ごとう ていゆう)氏によるものです。後に「PCG-707」となる VAIO ノートの初期デザインモックと、開発中止になった幻の VAIO ノート・コードネーム「Ryoma」、そして「VAIO」の名を広く知らしめる大ヒット作となった「Ryoma 2」(のちの PCG-505)のデザインモック。いずれも VAIO の記念碑的なモックアップですね。
こちらは VAIO L の初期デザインモック。液晶一体型デスクトップの発想でデザインされており、最終的なデザインはセパレートタイプとなった製品版 VAIO L とはずいぶん違いますが、目標とするスタイルや細かいギミックは VAIO L、およびその後継である VAIO LX、HS に繋がる象徴的なデザインモックです。
この VAIO L デザインモックの液晶上部には、「MOTION EYE」に似た小型カメラがつけられています。このカメラは、3 年半の時を経て現在の VAIO HS に搭載されました。また、ダイナミックにアングルを変更できる液晶部のダブルヒンジ構造や、LX で実用化されたペンタブレット液晶など、この頃からすでにイメージしていたというコンセプトの先進性には目を見張るものがあります。
VAIO L コンセプトモックのキーボード部分。このキーボードは、液晶を完全に倒してペンコンピュータスタイルで使うときにはモニタの下に隠れるようになっています。
また、モック全体に見られるグラナイト(御影石)模様は、最終的に VAIO L のパームレスト部等に採用されていますよね。
こちらは VAIO SR のデザインモック。スポーツカーのようなビビッドな赤が印象的です。こうして見ると、やっぱり VAIO XR 以降(ポスト後藤禎祐氏?)の VAIO ノートにはクルマやバイクをイメージした機構やネーミングが多いのにも納得がいきますね。
パームレスト右側に配置された 2 つのジョグダイヤルも目を引きます。これは「2 つのジョグダイヤルを DJ のように使って VAIO を操作する」という操作法を想定していたようですが、この頃から「MusicShaker」や「Gen-On」のようなソフトウェアのイメージもあったんでしょうかね?
VAIO SR 開発初期にはどうやら「回転式液晶」のコンセプトも存在していたようです。それを物語るのが液晶ヒンジ部の構造。この構造はのちに VAIO GT シリーズに採用されていますよね。今後もし VAIO に Tablet PC Edition モデルが登場するとしたら、このモックのようなイメージになるのではないでしょうか。
それにしても、デザインといい、ギミックといい、3 倍速そうなカラーリング(ぉ といい、イマイチ評判の良くなかった製品版 SR よりもこっちのデザインをベースに製品化してくれれば良かったのに、という気がします。
また、タッチパッド+TrackPoint のデュアル UI は今でも実現してほしい機構ですよね。
ずらりと並べられた、歴代のデスクトップ VAIO 用 MPEG-2 エンコーダ・チューナボード。改良に改良を加えられてきた歴史を感じます。
そして最新の「Giga Pocket Engine」は遂に WEGA に遜色ない画質を誇るに至る・・・といった感じでしょうか。次あたりはいよいよ BS デジタルへの標準対応も視野に入ってきそうですね。
同じく「VAIO chronicle」コーナーで行われていた「未来 VAIO」の展示&プレゼンテーション。プレゼンターのお姉さんが手に持っているのは、センシング・コンピュータ「VAIO E.Q」のデザインモックです。
この VAIO E.Q、ユーザーの感情や行動、経験等を学習・蓄積し、それをもとにユーザーの記憶や意志決定の手助けをする・・・というのがコンセプトなのですが、説明を聞いてもやっぱりまだピンとこない部分が多々。(^^;ま、まだ研究段階でしょうからねー。
今のところ、VAIO E.Q はカバンに入れておくベース部と、ユーザーとのやりとりのための携帯型インタフェースとの 2 ピース構成になっています。まだまだモックということでそれぞれどういう仕組みで動くものかは明らかにされていませんが、携帯パーツが内蔵する白色 LED がまるで生き物のように明滅しているのが印象的でした。
こちらは自宅に設置しておいて、外出先のノート PC 等からコンテンツを参照するためのコンテンツサーバとなる「VAIO Contents Egg」。こちらは機能的には比較的分かりやすくて、サーバとなるプロセッサおよびソフトウェアと大容量のストレージ、ネットワークインタフェースを備えたコンピュータとなっています。基本的にありもののハードウェアで骨格だけはある程度作れるものなので、あとはワイヤレスな WAN 環境がどの程度高速化されるかといった問題と、外部からのアクセスに伴うセキュリティおよび著作権保護の仕組みさえ何とかなれば、プロトタイプはすぐにでも作れそうな感じ。でも、その 2 点がいちばん難しいんですけどね(^^;

「VAIO chronicle」の方は昔からのコアユーザーでもなかなか目にすることのできなかった貴重なモックアップを間近で見ることができる、非常に有意義な展示だったといえるでしょう。この秋には Web 版「VAIO chronicle」に大幅加筆した書籍が出版されますが、これに対する期待も大きくなりました(しかし予価約 \8,800 は高い!)。 「未来 VAIO」は微妙ですね。「VAIO Contents Egg」の方はコンセプトも現在の VAIO+「ルームリンク」の延長線上にあるものですし、実現可能性としてもかなり高いものがあるとは思いますが、セキュリティ関係をどの程度までしっかりやってくるか、ということと、それまでにモバイルネットワーク環境がどの程度まで高速化されるのか(これはソニー 1 社で何とかできるものでもない)にかかっていると思います。逆に言えば、その二つが実用に足るものにならない限り、「VAIO Contents Egg」も「画に描いた餅」ならぬ「モックで作った卵」(笑)でしかないわけで。 「VAIO E.Q」はかなり難しいセンだと思います。展示を見てもやっぱりよく分からないというか、やりたいことは分かるんだけどそれってソニーが本質的に目指すところのものなのか?という疑問もちょっとあり。技術的なことも含めて、今回の展示会で公開するにはちょっと時期尚早だったんじゃないかな。他のお客さんもついてこれてない感じでした。 これから VAIO RZ+「ルームリンク」を売ろうという矢先にその進化形ともいえる「Contents Egg」を見せてしまったことといい、ユーザーの頭に疑問符をつけてしまっただけの「E.Q」といい、ちょっと今回の「未来 VAIO」は早まったんじゃないの、というのが個人的な感想です。が、製品化を目標にしている 2004 年には「ああ、やっぱりあのときソニーが言っていたことは間違っていなかったんだね」とユーザーのみんなが納得できるような答えを、ソニーは用意してくれるのでしょうか。
→パート 6

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