VAIO Laboratory PCV-S510 の CPU 換装
PCV-S510 の CPU 換装
前々回前回に引き続き、今回は PCV-S510 の改造について書きたいと思います。R70、J10 に関しては HDD やメモリの増設も同時に行いましたが、S510 は職場でも一線を退いていてほとんど経理データや Photoshop 程度にしか使われなくなっているため、RAM192MB・HDD18GB(共に増設済み)で十分、ということで今回は CPU 交換のみです。
※注:くれぐれも改造は自己責任で行って下さい。このページの情報をもとにあなたの VAIO を改造するとソニーによるメーカー保証が受けられなくなるだけでなく、最悪の場合 VAIO が壊れてしまう事態も考えられます。仮に、同様の改造を行って VAIO やデータ等が壊れても作者(Brown Sugar)は一切責任を負いません。ご了承下さい。
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というわけで、これが今回献体してくれた(笑)PCV-S510。これもなかなか名機でしたが、今となっては Pentium II 333MHz じゃ性能的にももう辛いところでしょう(画像・動画データを扱う仕事マシンの性能として、という意味で。Web ブラウジングやメール程度ならばこのスペックでも十分なんですが)。
この S510 に前回 J10 から取り外した Celeron 500MHz を載せます。
本体のサイドカバーを外したところ。例によってサイドカバーの取り外し方はマニュアルを参照してください。それにしてもマイクロタワーケースの中はやはりかなり狭いですね。
マザーボード上に懐かしい「Pentium II」という文字が書かれた黒いカートリッジが見えます。PenII は、カートリッジ上部のレバーを動かして上に引っ張るだけでけっこう簡単に外れます。
この Pentium II は、確か 0.25μm プロセスで作られた Deschutes コアで、FSB66MHz の 5.0 倍で動いています。(一部例外を除いて)内部倍率が可変な最後の Intel 製 CPU なので、440BX マザーで FSB100MHz に設定し、冷却をちゃんとすれば 400MHz で動く、と話題になったのも懐かしい話です。
この PenII もファンなしヒートシンクしか付いていません。おそらく電源ファンで冷却しているのではないかと思われます。
で、こちらが今回換装する、Celeron 500MHz。J10 から取り外したものです。Mendocino コア、FSB66MHz x7.5 の製品。
S510 は 440LX マザーを採用しているため、FSB66MHz の CPU(Celeron および 333MHz 以下の Pentium II)しか対応していません。仮に FSB133 の PenIII-1.0BGHz を載せると(万一無事動作しても)500MHz の CPU として動作します(笑)。
この Celeron、Socket370 の製品なので、Slot1 の S510 のマザーに載せるためには Slot1−Socket370 変換カードを用意しなくてはなりません。そこで買ってきたのが MSI の「MS-6905Master」。このボード自体は Celeron のデュアル化や Coppermine コアの FC-PGA タイプの CPU にも対応しています。今回は Socket370 で最も古い Mendocino コアなので、本体の電源ボックスと干渉するような背の高いものでなければどんな変換カードでも大丈夫だと思います。
MS-6905Master に Celeron を載せ、シリコングリスを塗って CPU クーラーを装着します。いくつか CPU の設定関連のジャンパがありますが、念のため Coppermine 対応用のジャンパを OFF にしている以外、FSB や電圧の設定は AUTO(デフォルト設定)にしてあります。このあたりはボードによって違うので、各ボードのマニュアルを参考にしてみてください。
MS-6905Master の表(裏?)側。SECC2 風に黒いプラスチックカバーが付いています。CPU コンバータボードは一般的に基板とソケットが付いているだけのシンプルなものが多いのですが、こういうつくりだと何かちょっと高級感があっていい感じ。中央のホログラムシールも雰囲気出てます。
あとは Celeron を載せた MS-6905Master を Slot1 に挿し、CPU ファンの電源ケーブルをマザーボード上のコネクタに接続するだけ。SECC の Pentium II が入っていたところに SECC2(風)の CPU を取り付けるので、厳密にいうとちゃんと固定されていないのですが、とりあえず外れなさそうな感じなのでまあいいか(汗)。どうしても気になるようなら、SECC2 用の CPU ガイドレールを買ってきた方がいいかもしれません。
CPU の FSB、倍率、電圧関係も全て AUTO にしてあるので、BIOS などはいじらずにそのまま組み直して電源を入れても大丈夫です。ちゃんと「Celeron 500MHz」と認識されているでしょ?
あと、言い忘れましたが、PCV-Sx10/x20 の BIOS は特にアップデートが出ていないので大丈夫なのですが、PCV-Sx00 の場合は BIOS を最新のものに更新する必要があるみたいです。
例によって「システム情報」の画面。ちゃんと Celeron と認識されています。
HDBENCH の結果。
ところで、この S510 も改造前のベンチマークデータを取っていません(汗)。どなたかノーマル S510 で以下の設定で HDBENCH を取っている方がいらしたら、データいただけないでしょうか。
★ ★ ★ HDBENCH Ver 3.22 (C)EP82改/かず ★ ★ ★
ProcessorCeleron 501.07MHz[GenuineIntel family 6 model 6 step 5]
CacheL1_Data:[16K] L1_Instruction:[16K] L2:[128K]
VideoCardRAGE PRO TURBO AGP (日本語)
Resolution1024x768 (16Bit color)
Memory195,468 KByte
OSWindows 98 4.10 (Build: 1998)
HDC = Intel 82371AB/EB PCI Bus Master IDE Controller
HDC = プライマリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)
HDC = セカンダリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)
A = GENERIC NEC FLOPPY DISK
CD = GENERIC IDE DISK TYPE47
E = GENERIC IDE DISK TYPE02
F = SONY CD-ROM CDU701 Rev 1.0k
  ALL Integer Float MemoryR MemoryW MemoryRW DirectDraw
PCV-S510改 9074 19973 20986 8068 7371 11241 28
  Rectangle Text Ellipse BitBlt Read Write Copy Drive
PCV-S510改 8701 13986 1655 18 11762 10454 2881 C:\20MB
うーん、まあこんなもんかな?(^^;
GHz 級の CPU がこれだけ身近になった時代ですから、500MHz くらいの CPU じゃそれほど驚かなくなってしまった自分が怖い・・・。でも、とりあえず体感的にはけっこう速くなっているようです。

以上、S510 の CPU 換装について書いてきました。CPU が 500MHz になり、メモリ・HDD も既に増設してあるので、これで S510 も J10 と同等かそれ以上くらいの性能に達しました。まあ、i.LINK は S200 のままですが、それは仕方ないですね。
今回換装した Celeron 500MHz はもう市場にはほとんど出回っていない上に、500MHz の 1 段階上・Celeron 533MHz が最後の Mendocino コアのため、それ以降に発売された Coppermine-128K コアの Celeron(533AMHz〜)が動くかどうかは微妙なところです。どなたか、人柱やりません?(笑)
PCV-S シリーズでこれ以上のパワーアップをするには、マザーボードを交換するしかないかもしれませんね。一般的な MicroATX フォームファクタのマザーが利用できるはずなので、マザーさえ交換すれば最新クラスの PC に作り変えることも可能なはずです。しかし、その場合は DVgate などのソニー製アプリは動作しなくなってしまいますが・・・。

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