VAIO Laboratory IBM DARA-212000
IBM DARA-212000
505EX でオーバー 8GB の HDD を使用する」ではしのさんの情報により、505EX で東芝「MK1214GAP」の認識に成功しましたが、このたび IBM「DARA-212000」についても検証してみるため、Tamaさんにこのドライブを貸していただきました。どうもありがとうございました>Tamaさん
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これが IBM「DARA-212000」。2.5 インチ、9.5mm 厚の HDD です。本来 505 に搭載されているのは 8.45mm 厚のものですが、この 1mm の違いをどうやって克服するかはまた別の機会に、ということで今回はこの HDD を認識・動作させることを中心に述べたいと思います。
505 を分解して HDD を交換する手順については、「HDD 換装と CPU のクロックアップ」を参照してください。
このドライブをただ単に接続しただけでは、写真のようなエラーメッセージが出るだけです。ウンともスンとも言ってくれません(まあシステムが入っていないので認識しても起動するわけがないのですが(笑))。
そういうわけで BIOS を呼び出し(起動時のソニーロゴが出ている間に「F2」キーを押す)、HDD 関係の設定を変更してやらなくてはなりません。
BIOS の Main 画面が表示されている状態で右カーソルキーを 1 回押し、「Advanced」メニューに移動すると「Primary IDE Adapter (Master)」がアクティブになっているので、ここで「Enter」を押します。
プライバシーフィルタをつけているため画面が少し見づらく写っていて申し訳ありません。
これで HDD の詳細設定ができます。「Type」をアクティブにしてスペースキーや「-」キーを押して「User」を選択します。それから、「Cylinders」の値を「23579」に設定します。この値については後で少し詳しく説明します。
その後、起動 FD にて VAIO を起動し、FDISK を使ってパーティションを設定します。「Cylinders」の値を変更していないと起動しても HDD を認識することができないはずです。
FDISK で HDD の領域設定後再起動するのですが、そのまま再起動すると BIOS 画面の直後にカーソルが点滅したまま起動が止まってしまいます。これは、おそらく BIOS が 8GB 以上のドライブを認識できないからでしょう(FDISK するときに起動できたのは起動ディスクから起ち上げたからだと思います。これから OS のインストール等のプロセスに移行し、HDD から起動する段になると BIOS から認識できないことがネックになってきます)。
というわけで、もう一度 BIOS 画面を呼び出し、今度は Cylinders の値を「4200」に設定します。こうすると BIOS からは約 2GB のドライブとして見えています。
これで、BIOS に 2GB の HDD であると「見せかけて」おいて OS 上ではすべての領域が使えるようになっています。そのまま Windows 98 のインストーラを走らせて、全領域を 1 ドライブとして FAT32 でフォーマットしても全然問題ありません。
今回は実験用の借り物のドライブということで、特にパーティションを切る意義もなかったので 12GB フルで C: ドライブに割り当ててみました。
実は、東芝 MK1214GAP に換装する場合は本体背面に LBA の設定値が記述してあったためそのまま使えばよかったのですが、DARA-212000 には LBA に関する記述が本体のどこにも見あたりません。私はおそらく同世代のドライブだし同じ設定で使えるだろうな、という予測はあったものの一応調べてみたところ、IBM-US のサイトにある PDF ファイルに LBA に関する記述があるのを発見しました。この LBA の値というのが MK1214GAP のものと全く同じ。というわけで同じ設定にして無事動作したというわけです。
これと同様に、LBA の値を調べて Cylinders の値に設定してやることによりオーバー 8GB のドライブがオールド 505 でも認識できるようになると思います。ドライブに LBA の記述がなくても、

米 IBM の 2.5 インチ HDD(Travelstar)の Web ページ
http://www.storage.ibm.com/hardsoft/diskdrdl/prod/travelstar.htm

米 TOSHIBA のストレージデバイスの Web ページ
http://www.toshiba.com/taecdpd/

から該当ドライブの情報にアクセスすれば発見できると思います。IBM 製ドライブの場合は Product Summary の PDF、東芝製ドライブの場合は「Tech Docs」→「User's Guide」→「Specifications」とたどれば見つかるはずです。
未確認ですが、東芝 MK8113MAT もこの LBA の値を設定することで全領域が利用できるのでは?と思います(2000 年 6 月現在 MK8113MAT のデータは削除されているため、ドライブの背面にあるであろう記述を参考にするしかないのですが)。
MK6412MAT と DARA-212000 の速度を HDBENCH 3.22 でベンチを取って比較してみました。
★ ★ ★ HDBENCH Ver 3.22 (C)EP82改/かず ★ ★ ★
ProcessorPentium(MMX) 267.23MHz[GenuineIntel family 5 model 8 step 1]
VideoCardNeoMagic MagicGraph 128ZV+
Resolution800x600 (16Bit color)
Memory64,612 KByte
OSWindows 98 4.10 (Build: 2222) A
HDC = Intel 82371AB/EB PCI Bus Master IDE Controller
HDC = プライマリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)
HDC = セカンダリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)
A = GENERIC NEC FLOPPY DISK
C = GENERIC IDE DISK TYPE40
ドライブ Read Write Copy Drive
IBM DARA-212000 12285 12011 4014 C:20MB
東芝 MK6412MAT 9093 8427 1778 C:20MB
Read、Write ともに 3 割増といったところでしょうか。重い Office 系アプリやグラフィック系アプリなどの起動時間は目に見えて速くなっています。最近では MK6412MAT ではちょっと遅い気がしてきていたので、これくらいの速さならば 505EX ももうしばらく使えそうかな、という印象を受けました。やはりノート PC は HDD とビデオチップの遅さがボトルネックになっているのでしょうね。

そういうわけで、「8GB 以上は使えない」と言われてきた 505EX でも 12GB のドライブが利用できることが前回と今回で検証できました。これであとしばらくはオールド 505 も延命できそうです。実際に試してみないとわかりませんが、ようやく発売された 20GB の 2.5 インチドライブも同様の手順で使える可能性が高いような気がしています。今度ぜひ手に入れて試してみようと思っています。
余談ですが、今回ベンチマークを取ってみて、最初に取れたデータが MK6412MAT より明らかに遅い値だったのでびっくりしてよく調べてみたところ HDD の DMA がオンになっていませんでした。DMA オフで取った値は Read、Write ともに 6000 前後。体感速度も DMA オンとオフでずいぶん違ったような。いかに DMA の設定が重要かわかります。

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