VAIO Laboratory AirH" Card petit CFE-02
AirH" Card petit CFE-02
Panasonic の H" 端末「KX-PH935S」と「USB-H64」組み合わせによるモバイル通信はそれなりに快適で、USB 接続のおかげで PCGPS との同時使用も問題なくできていたのですが、モバイル通信が快適になってくるとどうしても通信コストがかさんできます。そこで目をつけたのがモバイルでの常時接続環境「AirH"」。というわけで、「AirH" Card petit CFE-02」を購入しました。
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AirH" 端末にも数種類ありますが、私が選択したのは NEC インフロンティア製の「CFE-02」。CF TypeII の AirH" カードです。
AirH" のコースには 32kbps で定額制(\5,800/月)の「つなぎ放題コース」と 25 時間まで定額制(\5,800)でそれ以上の利用は従量課金となるかわりに最大 64kbps で接続できる「ネット 25」コースがありますが、CFE-02 は「ネット 25」には対応していません。ま、私の場合まず 25 時間は超えてしまうので、「つなぎ放題コース」のみの CFE-02 で問題ありません。
CFE-02 はサイズ的にはコンパクトフラッシュ+小型アンテナというかなりコンパクトなボディ。TypeII なので CF ほど薄くはありませんが・・・。
同じ AirH" Card petit シリーズでも TDK の「RH2000P」というタイプも存在しますが、こちらは CF TypeI で汎用性は高いもののアンテナの出っ張りが大きく、取り回しが悪いのでどうしても CF TypeI でないと駄目、という向きや「ネット 25」が必要な向き以外にはあまりオススメしません。
パッケージには CFE-02 本体の他に PC カードアダプタが同梱されています。実売 \7〜8,000 のカードに \3,000 相当のアダプタがついているのでなかなかお得かも。
アダプタ自体は一般的な CF TypeII→PCMCIA なので、CFE-02 以外の CF カードにも利用できます。
C1VJ に装着してみたところ。今まで私が使ってきたどの PC カードタイプの PHS よりも出っ張りが小さいため、その気になれば CFE-02 を装着したままソフトケースにしまうことも可能です。
LED は電波状況と接続モードの 2 系統。電波状況は良い順に黄色→オレンジ→赤に点灯(切れそうな場合は赤点滅)し、モードは 64kbps のときには黄色、32kbps のときにはオレンジにゆっくり点滅します。
例によって CFE-02 は PC カードモデムとして認識されています。
なお、CFE-02 には更新版のファームウェアが公開されています。このファームウェアをアップデートすることによって通信効率が改善され、通信速度が若干良くなるようなので、試してみてはいかがでしょうか(もちろん、ファームウェアのアップデート作業は自己責任で)。
http://www.necinfrontia.co.jp/products/cf/02_utility.htm
私も当ててみましたが、体感的には・・・速くなったのか?(笑)
AirH" のいわゆる 32kbps パケット通信方式で接続するには、アクセスポイントの電話番号の最後に「##61」を付加してやる必要があります。H" の PIAFS2.1 方式で接続するときに「##4」を付加しましたが、あれと同じですね。これをつけないと回線交換方式で接続され、通話料がかかってしまうので要注意!
AirH" はプロバイダによっては ADSL と同じ料金コースでは利用できず、別途接続料がかかってしまう場合があるので、プロバイダの料金コース内で AirH" が利用できるかどうかはよく調査してから導入を考えた方が良いでしょう。ちなみに私の使っている So-net は全ての固定料金制コースにおいて追加料金なしに AirH" が利用できます。(※注:私は So-net の回し者ではありません)
32kbps での接続は、ハッキリ言って遅いです。ADSL などの高速回線に慣れた体には、INS64K の約半分である 32kbps というのはちょっとイライラする速度。久々に 28.8k モデムを使っている感じといえば分かるでしょうか?
でも、重いファイルをダウンロードしたり、タブブラウザで一気に複数のサイトにアクセスするという使い方ではなく、メールや一般的な Web ブラウジングに使用するくらいならば使い物になる速度。何より、外出先でもどれだけ使っても定額料金というのは快適なことこの上無しです。
私が PC 以外に AirH" で活用しているツール。IBM の WorkPad c505+Communication Card Adapter と、DoCoMo の sigmarion II。sigmarion II は DDI Pocket のライバルである DoCoMo の製品ということで動作保証外ですが、CFE-02 は動作します(CFE-01 の方はプロテクトがかかっていて使えないらしい)。
これらの PDA や H/PC は Windows PC と違って起動・終了に時間がかからない上携帯性に優れているので、機動力という点では CFE-02 との相性は抜群。私もむしろこれらのツールで CFE-02 を活用する機会の方が多いくらいです。sigmarion II なんかはむしろ AirH" を活用するために買ったようなものですし。
32K といっても実際のところどの程度の速度が出るのか?ということで、計測してみました。
約 1MB(1,062KB)のファイル(JPEG ファイル)をアップロード(FTP)、ダウンロード(HTTP)し、どの程度スループットが出るのか実際に試してみました。1KB/s=8kbps で計算すると、100% の効率で 4KB/s の速度が出るはずなのですが、実データは以下の通りとなりました。ちなみに接続したアクセスポイントは So-net の AirH" 専用 AP、および PIAFS2.1 対応 AP で、データの転送は BiG-NET の big20 サーバに対して行っています。計測はストップウォッチによる手動計測のため、多少の誤差が含まれることはご了承ください。


アップロード時間
上り転送速度
上り転送効率
ダウンロード時間
下り転送速度
下り転送効率
AirH" 32K 10 分 04 秒 1.76KB/s 44.0% 06 分 31 秒 2.72KB/s 67.9%
PIAFS2.1 64K 03 分 17 秒 5.39KB/s 67.4% 02 分 47 秒 6.36KB/s 79.5%

以上のようになりました。FTP と HTTP というプロトコルの違いによるオーバーヘッドの違いは多少あるにしても、AirH" は上り 15kbps、下り 20kbps くらいしかスループットが出ないということが言えると思います(少なくとも私の使用環境では)。同じ DDI Pocket のインフラを使っていても PIAFS2.1 で接続したときはかなりまとも(ISDN の固定電話に近いくらい)な転送効率が出ているので、AirH" 側が単純にユーザー数が多いのか、それとも AirH" の仕組みそのものがスループットの低いインフラであるのかは分かりませんが、いずれにせよ(少なくとも現状では)速度について過剰な期待ができるものではない、ということが言えるかもしれません。

AirH" 32K の環境で速度の話をすると悲しくなるので(笑)このくらいにしておきますが、必ずしも大量のデータ送受信を行わないモバイルという状況を考えると、32K の AirH" もそこそこ十分というか実用的なインフラのひとつであるということができるでしょう。何より、いろいろなデバイスと組み合わせることによって「いつでも、どこでも」インターネットという巨大なデータベースを利用できるということは、ある意味毎日の生活そのものを変える力を持っていると言えるかもしれません。定額制なので時間を気にせず安心して使えるというのは、やはりポイントが高いですね。ただ、モバイル中に巨大な添付ファイルなりウィルスつきのメールが送られてきた日には、マジで泣きそうになりますが(^^;
AirH" にも 128kbps のソリューションが出てきましたが、あまりスループットが高くない(どんなに良くても 90kbps そこそこがいいところ、という話も聞きます)こととまだまだ高い(PHS だけで \9,000/月 はさすがに高いと思います)ことを考えると、もう少し待ちかな、という気がします。何より CF タイプの AirH" 128K カードが出ないことには、PDA や H/PC ユーザーとしては逝くに逝けないわけで。
今後まだまだ高速化の余地のある AirH" ですが、我々を「ユビキタス」の世界に一歩近づけるツールとして、試してみる価値はあると思います。気になっている方は、この際逝ってみては?生活が変わるかもしれませんよ。

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